
静岡県の鈴木康友知事がリニア中央新幹線静岡工区の着工を容認したことで、東京・品川―名古屋間の開業に向け大きく前進した。開業すれば同区間は最短40分で結ばれ、人々の働き方や暮らしは大きく変わると見込まれる。ただ、着工の遅れで名古屋までの開業は早くても2036年以降、大阪までの全線開業は見通しすら立っていない。
静岡工区は17年10月、当時の川勝平太知事が反対を表明。JR東海の対応策に対しても「大井川の水は(周辺住民)60万人の命の水だ」と反発し、議論はこう着状態となった。
潮目が変わったのは約2年前。川勝氏は24年4月採用の職員に対する訓示内容が職業差別との批判を受け、突如辞意を表明した。その後の知事選でリニア推進派の鈴木氏が初当選し、JR東海との協議は進んだ。
リニアが開業すれば、東海道新幹線「のぞみ」で最短1時間26分かかる品川―名古屋間は同40分で移動可能になる。13年に公表された民間の試算では、25年の品川―名古屋間開業を前提とした経済効果について50年間で少なくとも10兆7000億円としていた。
沿線自治体では、通勤圏の拡大や観光需要の増加、都市や地方に生活拠点を複数持つ「二地域居住」の促進などの効果が見込まれる。岐阜県の幹部は「二地域居住がより現実的になる。観光地にも来てもらいやすくなる」と力を込める。
もっとも、リニアの着工から完成までには10年以上かかるとされる。人口減少や新たな移動手段の普及など社会環境が変化する中で、当初期待された効果がどこまで実現するかは見通せない。鈴木氏が着工を容認した7日、金子恭之国土交通相は「一日も早い開業に向けて関係自治体やJR東海と連携し、しっかり取り組んでいく」と強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕静岡県議会でリニア中央新幹線静岡工区の着工を容認する方針を表明する同県の鈴木康友知事=7日午前、静岡市葵区
2026年07月07日 20時31分