養子希望者は?家族一体性は?=改正皇室典範、難題山積



皇族数確保策を盛り込んだ改正皇室典範が17日に成立した。皇族の減少に歯止めをかけるため(1)旧11宮家の男系男子を養子として皇室に迎える(2)女性皇族が結婚後も身分を保持する―の二つの方策を制度化したが、果たして軌道に乗るのか。付帯決議が「引き続き検討する」よう求めた皇位継承問題以外にも難題は山積している。

◇「ほとんど赤の他人」

旧宮家の養子縁組策でまず課題になるのは養子の希望者が現れるかだ。養子になれるのは旧11宮家の15歳以上の未婚の男系男子。百地章・日本大学名誉教授によると、30歳以下の未婚の男系男子は東久邇家、賀陽家、竹田家、久邇家に計11人いるが、政府は意向調査をこれまで行っていない。

一方、養親になれるのは、上皇ご夫妻、天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻以外の皇族。自民党の麻生太郎副総裁の妹の寛仁親王妃信子さまも含まれており、野党からは「(麻生氏は)藤原道長じゃないか」(中道改革連合の野田佳彦元首相)と政治的思惑が入ることを懸念する声が上がる。

木原稔官房長官は15日の参院皇室典範改正特別委員会で「養子縁組は養子・養親双方の自由な意思に基づいて行われる。恣意(しい)的要素(との懸念)は当たらない」と理解を求めた。

最大の懸念は旧11宮家の男系男子の皇室入りが国民の理解と支持を得られるかだ。旧11宮家は1947年の皇籍離脱以来、一般国民として暮らしてきており、現在の皇室との共通の祖先は約600年前までさかのぼる。旧11宮家にのみ養子縁組を認めるのは「門地による差別を禁じた憲法14条に抵触する」との声も消えていない。

共産党の小池晃書記局長は15日の特別委で、47年に離脱した旧11宮家の男系男子と天皇陛下に36~38親等の隔たりがあることに触れ、「6親等離れれば民法上の親族ではない。38親等になれば、もうほとんど赤の他人ではないか」と批判した。

◇戸籍・姓・選挙権なく

女性皇族の身分保持策に関しては、結婚後に家族の一体性を保てるかが課題となる。衆参正副議長がまとめた「立法府の総意」は夫と子に皇族の身分を与えるかどうかの結論を先送りしたが、改正典範は夫と子を一般国民と位置付けたためだ。

政府は一体性を保つため、女性皇族、夫、子が御用地内などに共に住むことを想定。女性皇族の公務に夫らが同行する旅費を公費から支給することを検討している。夫や子は皇宮警察の護衛対象とならないが、「情勢に応じて必要な措置を講じる」(木原氏)と説明している。

一方で皇統譜への記載が続く女性皇族は夫と子と違って姓を持たず、選挙権・被選挙権もない。

改正典範成立直後に行われた参院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の蓮舫氏は「(首相は)親と子の名字が違うだけで家族の一体感がなくなると選択的夫婦別姓に反対してきたのに、どうやって家族の一体感を持てるのか」と追及した。首相は「一般国民と同列に論じることには賛同しかねる。全然別の問題だ」と反論した。

【時事通信社】 〔写真説明〕参院本会議で、皇族数の確保策を盛り込んだ改正皇室典範が成立し、起立する木原稔官房長官(手前右)=17日、国会内

2026年07月20日 07時04分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース