
トランプ米政権が打ち出した高関税政策を巡る日米合意から間もなく1年。日本製自動車に対する米関税率は当初の27.5%から15%に引き下げられたものの、依然負担は重い。トヨタ自動車などの自動車大手は、2026年3月期の影響額が6社合計で2兆4000億円を超えた。値上げによる価格転嫁も限定的なのが実情だ。
日米両政府は昨年7月、日本が米国への投資を拡大するのと引き換えに、米国は対日関税を引き下げることで合意。自動車関税は同9月に引き下げられた。ただ、トランプ政権発足前の2.5%に比べれば、はるかに重い関税が課されている。
米市場は日本国内に比べて値上げしやすい環境とされ、自動車業界には米消費者への価格転嫁が進むとの見方が多かった。しかし、欧米勢との厳しい競争にさらされ、値上げの動きは限定的。トヨタは定期的な価格改定にとどまり、ホンダも「モデル改良のタイミングで見直しを検討する」と慎重姿勢を維持している。
各社が力を入れるのが、コスト削減。マツダは昨年、原材料供給を受ける日本製鉄との連携強化を発表。主力のスポーツ用多目的車(SUV)「CX―5」の新型モデル開発に適用し、鋼板などの調達費用や部品点数の削減などに成功した。トヨタは「お家芸」の地道なコスト削減を積み上げ、26年3月期に2750億円の利益押し上げ効果を生んだ。それでも、巨額の関税負担を賄うには至らず、各社の利益を圧迫している。
製造業の一部には、価格転嫁に踏み切る動きも見られ始めた。日立建機は、26年3月期に米関税による93億円のコスト増に直面したが、値上げによって約半分に圧縮。時計大手のセイコーグループ、シチズン時計は値上げや販売増によって関税による負担増を相殺したという。
ただ、事務機器大手の幹部は、米関税だけでなく、半導体調達や人件費などのコストが増えていると指摘。その上で、「製品の値上げにどこまで反映させるか難しい。競合他社の動向次第でもある」と、競争が激しい米市場で各業界とも対応に苦慮している現状を明かした。
【時事通信社】
〔写真説明〕米西部カリフォルニア州ロングビーチの港に並ぶトヨタ車=資料(AFP時事)
2026年07月20日 18時07分