
【ワシントン時事】11月3日の米中間選挙で、焦点となる上下両院の多数派がしばらく判明しないとの見方が出ている。投開票日後に届いた郵便投票も有効とする州があり、集計に時間を要するためだ。郵便投票を「不正の温床」と批判してきたトランプ大統領だが、最近は一転して利用を呼び掛ける場面も目立つ。接戦区で集計が長引けば混乱を招く恐れもある。
「郵便投票でもいい。とにかく投票してほしい」。トランプ氏は最近の選挙集会でこう訴え始めた。19日には、上院選で激戦となっている南部テキサス州などで期日前投票がスタート。フロリダ大の集計によると、民主党所属の登録有権者の投票が圧倒しており、やり玉に挙げてきた郵便投票を促さざるを得ないほど焦りを募らせているとみられる。
郵便投票は新型コロナウイルス禍を機に利用が急増し、2024年大統領選では全投票の約3割を占めた。集計には本人確認などが必要で、15州では投開票日までの消印などの条件を満たせば選挙管理当局に後日到着した票も有効となり、勝敗確定が遅れる一因とされる。
前回の22年中間選挙では、上院の多数派が判明したのは投開票日の4日後、下院は8日後だった。今回の中間選挙に向けた予備選でも、郵便投票の利用が多い西部カリフォルニア州では知事選で本選に進む候補が固まるのに1週間を要した。米公共ラジオ(NPR)は、多数派判明まで「数週間かかる可能性もある」と指摘する。
郵便投票を巡っては、トランプ氏が20年大統領選で敗北した際の苦い記憶から批判してきた経緯がある。一部接戦州で選挙当日の投票が先に集計されトランプ氏が先行したものの、民主党支持者の利用割合が高い郵便投票の開票が進むにつれバイデン前大統領が逆転した。共和党のカラーにちなみ「レッドミラージュ(赤い蜃気楼=しんきろう)」と呼ばれる現象だ。
トランプ氏は当時、大規模な「不正」が行われたと一方的に主張して敗北を認めず、21年1月の連邦議会襲撃事件につながった。今回の中間選挙でも不正に繰り返し言及。司法省は今月15日、カリフォルニア州が米国籍を持たない2万人超に投票用紙を郵送した疑いがあると主張して提訴に踏み切った。郵便投票が上下両院の多数派争いを左右すれば、選挙結果に対する不信感が深まり、対立が激化するとの懸念が広がっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=19日(AFP時事)
2026年10月20日 20時30分