【イスタンブール時事】ロシア軍の激しい攻撃にさらされたウクライナ東部ルガンスク州の要衝都市セベロドネツクで、ウクライナ軍部隊をドネツ川を挟んで対岸に位置する都市リシチャンスクなどに撤退させる動きが進んだ。セベロドネツクのストリュク市長は25日、「市は完全にロシアの占領下に入った」と述べた。ウクライナはセベロドネツクで支配権を失った形で、南東部の港湾都市マリウポリが先月陥落して以来の大きな打撃となる。
ウクライナのメディアによると、ストリュク氏はこれより先、セベロドネツクから「大半の部隊が撤退した」と述べていた。同国治安関係者は撤退理由について「兵士らの命を守るためだ」と指摘。リシチャンスクの陣地に合流させることで将来のロシア軍への反攻に備えることができ、撤退は「軍事的観点から、より戦略的な意義がある」と強調した。
英国防省は25日付のウクライナ戦況報告で、ウクライナ側は「セベロドネツクとリシチャンスクの区域での防衛態勢を再構築しようとしているようだ」と分析している。
ただ、ロシア軍のリシチャンスクに対する攻撃も日増しに強まっており、ウクライナ軍の思惑通りに反攻を仕掛けることができるかは不透明だ。ルガンスク州のガイダイ知事によれば、ロシア軍は24日、リシチャンスクに対して南方から攻撃し、空爆も行ったという。ロシア国防省報道官は同日、南方からのロシア部隊がリシチャンスクを封鎖したと表明した。
【時事通信社】
〔写真説明〕ウクライナ東部リシチャンスク郊外を走る同国軍の装甲兵員輸送車=23日(AFP時事)
2022年06月26日 00時05分