
【ベレン時事】ブラジルで開催中の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に参加しているリオデジャネイロ州立大学のカルロス・ミラーニ教授(国際協力学)が、時事通信のインタビューに応じた。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の離脱を表明した米国が不在であることを念頭に「多国間交渉にはすべての国の参加が必要だ」と述べた。主なやりとりは次の通り。
―ブラジルでのCOP30開催はどんな意義があるか。
ブラジル政府は2019年のCOP25の誘致を目指したが、気候変動に懐疑的なボルソナロ政権の発足を見据えて見送られた。今回のCOPは、気候変動対策に協力的なルラ政権下で、先進国と新興・途上国「グローバルサウス」の橋渡し役としての威信を取り戻す上で重要だ。交渉を世界最大の熱帯雨林「アマゾン」の中心で行うことも象徴的な意味がある。ベレンのような発展途上の都市での開催が成功裏に終われば、国内外にいい影響を与えるはずだ。
―どんな成果を期待するか。
COP30は「実施のためのCOP」と位置付けられているが、途上国では、対策のビジョンを描く資源も十分ではなく、気候資金がカギになると考える。ただ、公的資金だけではすべての課題に対応することはできない。いかに民間資金を調達し、活用するかが重要だ。
―COP30での交渉をどう見るか。
交渉は非常に難しい。米国は不在で、その他の多くの国は参加しているものの全力を注いでいるとは言えない。欧州諸国はこれまでリーダーとして重要な役割を果たしてきたが、ロシアのウクライナ侵攻による懸念を抱え、環境・気候関連の資金の多くが安全保障に移行している。米国の不在で中国は存在感を高めようとしているが、米国なしで解決策を生み出すことはできない。多国間交渉にはすべての国の参加が必要だ。
〔写真説明〕リオデジャネイロ州立大学のカルロス・ミラーニ教授=18日、ブラジル・ベレン
2025年11月21日 14時32分