企業の資金有効活用カギ=東京株一段高に向け―海外投資家



【ニューヨーク時事】東京株式市場で今年、日経平均株価が初めて5万円台に達した。東証が推進してきた上場企業の統治改革を背景に各社の収益性が向上し、海外投資家から評価されていることが一因だ。ただ一層の株価上昇には、研究開発など成長に向けて手元資金が有効活用されるかどうかがカギになるとの指摘が出ている。

東証は2023年3月末、上場企業に対し、株価と資本効率を意識した経営を行うよう要請。これを受けて各社は配当や自社株買いを強化し、利益も増加した。今年の株価上昇で日本株の割安感は以前に比べ薄れたが、市場では「企業の利益成長と統治改革が引き続き楽観的な見方を正当化する」(米金融大手)との声が聞かれる。

日本株を投資対象に加えたい海外勢に広く使われている上場投資信託(ETF)は、23年春から買いの勢いが増した。調査会社によると、米資産運用大手ブラックロックの「iシェアーズMSCIジャパンETF」には23年4月以降の2年半で約12億ドル(約1900億円)が流入。直前の2年半は約2億5000万ドルが流出していた。

日本取引所グループ(JPX)の山道裕己最高経営責任者(CEO)は10月にニューヨークで行った講演で、23年4月の就任当初は海外投資家の間で統治改革の本気度を疑う声が強かったと振り返った。だが、現在は「日本の企業と市場の変化が認められている」と分析した。

米運用会社マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメントで日本株を担当する竹内俊太郎ポートフォリオマネジャーは、株主還元の強化や取締役会の多様性確保で企業が評価される段階は過ぎたと指摘。「ため込み過ぎている現預金の使い道が注視される『ステージ2』に入った」と語り、研究開発や設備投資などに手元資金を振り向ける必要性を強調した。

2025年12月15日 08時03分

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