強まる「トランプ流」経済安保=産業補助金、対米投資で代替―日米合意1年



【ワシントン時事】日米関税合意から22日で1年となる。トランプ政権は日本を含む各国・地域に高関税を突き付け、巨額の対米投資を承諾させた。戦略産業の育成を補助金頼みで進める米国の産業政策は、他国からの投資を原資に充てる「トランプ流」の経済安全保障の色合いを強めている。

「日本や韓国などが米国に戻ってきている。これほど大規模な投資は過去に例がない」。トランプ大統領は15日、関税の効果を改めて誇示した。

経済安保の強化のため、半導体などの戦略分野を補助金などで支援する産業政策は今や、国家主導で競争力を高める中国に対抗する主要ツールだ。バイデン前政権時代に本格的に採用され、日本政府もラピダス(東京)の次世代半導体研究など巨額の支援策を重ねてきた。

バイデン政権は、戦略物資の対中依存低減のため、半導体補助金法をはじめとする巨額の補助金や税額控除によって戦略産業を育成。トランプ大統領はこの方針を重視しつつ、原資を対米投資に代替しようとしている。米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所シニアフェローのマザレイ氏は「対米投資は資金の出どころを変えた米産業政策の加速だ」と見る。

対米投資が最も進展しているのが日本。総額5500億ドル(約89兆円)の対米投融資のうち、金額で約2割に当たる計6件を約束した。だが、他国の進捗(しんちょく)は思わしくない。

欧州連合(EU)は6000億ドルの対米投資で折り合ったものの、米国との対立が尽きず進展はみられない。韓国は6月に3500億ドルの投資手続きを進める大統領令に署名したばかりだ。マザレイ氏は「関税を回避し、米国の安保の傘にとどまるための強制的な側面が強い」と、投資の実現性に課題が残ると指摘する。

ただ、米政権に手を緩める気はない。24日失効する全世界10%関税を通商法301条関税に切り替えようと急いでおり、火種も生みそうだ。他国が対米投資に慎重姿勢を崩さない中、日本政府関係者は、「合意を着実に履行するよりほかない」と語った。

〔写真説明〕2月19日、米南部ジョージア州ロームの製鉄所を視察したトランプ大統領(AFP時事)

2026年07月20日 18時07分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース