
熊本市の慈恵病院は11日、妊婦が病院だけに身元を明かして出産する「内密出産」について、初事例となった2021年12月以降、これまでに延べ60人が利用したと発表した。
同病院によると、内密出産をした理由は「母親に知られたくない」が最多で24人に上った。年齢別では、19歳以下が12人、20代が44人、30歳以上が4人。53人は産婦人科を受診していなかった。
居住地域は九州が最多の20人で、関東が19人と続いた。出産後に匿名を撤回した23人のうち、実親や里親らの養育を希望したのは14人、生みの親との法的関係が解消される特別養子縁組を求めたのは9人だった。
同日、記者会見を開いた蓮田健院長は、内密出産を受け付け、乳児を専門機関などにつなぐ取り組みについて、「(4年間で)システムは出来上がってきた」と話し、活動継続に意欲を見せた。母親が置かれた複雑な環境や、法制度の遅れで行政の支援を受けられない現状に触れ、「悩みながら進めていかなければならない」と漏らした。
〔写真説明〕記者会見する慈恵病院の蓮田健院長=11日午後、熊本県熊本市
2025年12月11日 17時19分