
青森県で震度6強を観測した地震の影響で、NTT青森八戸ビル(八戸市)の鉄塔に損傷が見つかり、余震を警戒する住民に倒壊への不安が重なった。11日午前0時に市が発出した避難指示は、ビルから半径50メートル以内の48世帯のみで、対象外の近隣住民からは対応を疑問視する声も聞かれた。
「1週間以内に大きな地震が来る可能性がある。万が一倒れたら大変だ」。近くに住む70代男性は不安げに鉄塔を見上げた。
近くのクリニックでは、診察まで1時間を切ってから急きょ休診を決めた。担当者によると、人づてに避難指示を知り、「何かあってからでは遅い」と判断。その後避難対象ではないと確認したが、「避難指示は寝耳に水。ふたを開けてみれば休診する必要はなかった」といぶかしんだ。
ビルが面する国道45号は市の大動脈だが、約1キロにわたり通行止めに。70代女性は「買い物に行けない」とため息を漏らした。
八戸市の熊谷雄一市長は11日午後、臨時記者会見を開き、「(避難)対象者が限定的なので(当初は)SNSでの発信はしなかった。夜間だったので直接訪問で確実に対象者に呼び掛けた」などと釈明した。
〔写真説明〕損傷が見つかったNTT東日本の鉄塔。手前は通行止めとなっている国道45号=11日午後、青森県八戸市
〔写真説明〕NTTの鉄塔に損傷が見つかり、記者会見する熊谷雄一八戸市長=11日午後、同市役所
〔写真説明〕損傷した、NTT青森八戸ビルに設置されている鉄塔の柱(NTT東日本提供)
2025年12月11日 19時37分