執念の捜査、5年越し起訴=真相解明待つ遺族―東京・国立妻殺害



東京都国立市の団地9階から妻を落とし殺害したとして2021年に逮捕後、釈放された男が5年越しに殺人罪で起訴された事件で、東京地検立川支部は警視庁捜査1課と連携し、慎重に容疑の裏付けを重ねた。長期にわたる「執念の捜査」(検察幹部)の背後には、真相解明を待ち望む遺族の存在があった。

同支部などによると、職業不詳の高張潤被告(49)は20年11月、国立市泉の都営団地で妻麻夏さん=当時(41)=の首を絞め9階から投げ落としたとして、21年2月に逮捕された。しかし、翌月に処分保留で釈放された。

当時は死因が判然とせず、9階ベランダを映した防犯カメラの人影も不鮮明だった。こうした状況などを踏まえ、起訴するには証拠が乏しいとの判断に至ったとみられる。

関係者によると、捜査1課などはその後も地道に捜査を継続し、24年ごろから本格化。何人もの法医学者を回り、麻夏さんの遺体は肺の出血量が少ないことから、転落前に意識を失っていたか、死亡していた可能性が高いとの見解を複数得た。同時に再現実験を繰り返し、落下前後の状況など、細部まで裏付けを重ねたという。

この間、捜査員は真相解明を願う遺族の元を何度も訪れ、墓前に手を合わせた。事件当時、1歳だった幼子は、麻夏さんの母が育てているが、親権は高張被告が持ったまま。こうした不安定な状況が、捜査員らをより奮い立たせたという。

ある検察幹部は、釈放後に長期間たってから起訴するのは異例だとした上で、「当時の(処分保留という)慎重な判断は正しかったと思う。それでも警察は諦めなかった」と説明。別の幹部も「担当検事が捜査1課と調整を進めてきたのだろう。執念の捜査だ」と話した。

〔写真説明〕団地のベランダから妻を落とし殺害したとして、殺人罪で起訴された高張潤被告を乗せたとみられる車=17日、東京都国立市

2026年03月25日 07時05分


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