
絶滅危惧種のオランウータンの子どもは6歳半まで母乳を摂取していることを実証したとの研究成果を九州大などの国際研究チームがまとめた。哺乳類の中で最も長く授乳すると考えられていたが、直接的にデータで示したのは世界初という。論文は5月、国際科学誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に掲載された。
研究チームによると、マレーシア・ボルネオ島の保護区に生息する野生のボルネオオランウータンの子どものふん20点に含まれるたんぱく質を分析。母乳にしか含まれないたんぱく質が検出されるかを調べた。
その結果、2歳8カ月~6歳6カ月までの子ども5頭全てのふんから母乳由来のたんぱく質が検出された。母乳を多く摂取しているほど腸内環境を整えるバクテリアの量が増加していることも示唆されたという。
オランウータンの出産間隔は平均7~8年で、ゾウやクジラより長く哺乳類最長とみられる一方、子どもの生存率は現代の先進国の人間並みに高い。少ない子を低い死亡率で成長させる戦略を取っているといい、研究チームの蔦谷匠・九州大准教授(自然人類学)は「ヒトに近縁なオランウータンのユニークな生き方を明らかにすることができた」と話している。
〔写真説明〕マレーシア・ボルネオ島のオランウータンの親子(蔦谷匠・九州大准教授提供)
2026年06月05日 15時00分