被爆樹木から希望の音色=バイオリンに再生、各地で演奏―「生命力を感じて」・広島



81年前の6日、広島の爆心地から半径約2キロ以内で閃光(せんこう)を浴びながらも生き抜いた「被爆樹木」。枯死したため焼却予定だった樹木が昨年、バイオリンに生まれ変わり、希望の音色を響かせている。広島市出身の演奏家白井朝香さん(61)は「音色を通じ、樹木の生命力を感じてほしい」と話す。

今月1日、白井さんは市内で平和をテーマにしたコンサートを開いた。奏でるバイオリンは、爆心地から約530メートル地点で被爆したムクノキを加工して作られた。市が長年管理してきたが、2022年に枯死した樹木だ。焼却予定だったものを地元のロータリークラブが引き取り、被爆80年に当たる昨年にバイオリンとしてよみがえらせた。

国内外100カ所以上で演奏会を行ってきた白井さんはこの日も、バイオリンの背景を紹介し、平和への祈りを込めた12曲を演奏。生後3カ月で被爆した女性(81)は「平和への願いが伝わってきた」と評価。被爆二世の中本里花さん(62)は「先代の被爆体験を語り継ぐ難しさを感じているが、新たな継承の形に感動した」と話していた。

白井さんは「被爆体験者の言葉に勝るものはない」と強調。その上で、「このバイオリンを使った演奏によって、私たちの世代でも体験者の思いを伝えていきたい」と力を込めた。

市によると、市登録の被爆樹木は4月時点で159本ある。被爆樹木を約40年管理する樹木医の堀口力さん(81)は「原爆を経験した木が違う形で残り、新たな役割を果たしている」と歓迎する。

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2年前にノーベル平和賞を受賞した際は、授賞式があったノルウェーの首都オスロの植物園に被爆樹木の種が植えられた。堀口さんは「木を植えることで平和を育てる。原爆の悲惨さとともに、命のたくましさも伝えたい」と話している。

〔写真説明〕管理する被爆樹木を見詰める樹木医の堀口力さん=7月22日、広島市中区 〔写真説明〕コンサート会場で、被爆樹木を加工して作ったバイオリンについて解説する演奏家の白井朝香さん=1日、広島市南区

2026年08月07日 14時32分


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