
熊本県で最大震度7を観測した地震から3週間がたち、避難生活が長期化している。熊本市内でフットケアサロンを営む白木友加里さん(53)は、避難所で暮らす人々のエコノミークラス症候群や転倒を予防するためボランティアで各地を回り、「足元からの支援」に奔走している。
「足ば軽くなった。足先までは手がいかんと」。足の爪を切ってもらい、火の君文化センター(同市南区)で避難生活を続ける70代女性の表情が和らいだ。女性は目が悪く、自分で足の爪を切ることができないといい、爪は分厚く変形していた。
白木さんは仲間のネイリストや介護士らと共に同県氷川町や熊本市南部の避難所を回り、手足の爪切りやマッサージ、足浴の支援を行う。避難所に到着するのは、仕事を終えた夕方すぎ。そこから3~4時間、ノンストップでケアに当たる。
白木さんは、長期の避難生活では運動不足などで足がむくみ、エコノミークラス症候群の発症につながる恐れがあると指摘する。長く伸びた爪は布団や毛布に引っ掛かりやすく、転倒のリスクにもなる。皮膚や爪の状態によってはケアを断って医療機関につなぐケースもあり、「医療行為ではないので線引きは重要」と話す。
2016年の熊本地震では、白木さんの自宅兼店舗は半壊し避難を余儀なくされた。身を寄せた避難所では爪が変形したり、足がむくんだりした人々を目の当たりにした。「役に立てることはないか」と考え、店から道具を持ち出して避難者のケアを始めた。
これをきっかけにフットケアの重要性を再認識した白木さん。現在は一般社団法人「フットヘルパー協会」(北九州市)の熊本校の認定講師として、フットヘルパーの養成講座や足の健康教室を開催し、高齢者らが自分の足で歩ける健康寿命の重要性などを説いているという。
熊本県によると、18日午後2時現在、県内70カ所の避難所で3020人が生活を続けている。白木さんは「命を守ることが最優先の避難所では手足のケアは後回しになりがち。避難所がある限り、支援を続けていきたい」と意気込む。
〔写真説明〕避難所の「火の君文化センター」で被災者の足の爪を切る白木さん(左手前)=15日午後、熊本市南区
2026年08月19日 14時31分