
公道の最速ドライバーを目指す戦いが続く。自動車の世界ラリー選手権(WRC)に挑む勝田貴元(32)が、来季もトヨタでフル参戦する。「王者になるまで満足できない。とにかく自分に足りないものを補っていきたい」。篠塚建次郎に続く日本人2人目のWRC制覇に焦点を定める。
ラリーはサーキット場の周回ではなく、主に一般の公道を走る。舗装された市街地、落ち葉の残る林道、曲がりくねった山道とコースは多様。刻々と路面状況が変わる中、各競技区間の合計タイムで順位を競う。勝田が「皆さんが普段使っている道で走るのを見てもらいたい」と話すところに、迫力と面白みがある。
フル参戦5年目の今季は13戦を終え、表彰台は2位が2度。地元愛知と岐阜で行われた今月のラリー・ジャパンでは、2位で出た3日目にクラッシュした。これに端を発したトラブルで後退し、最終順位は17位。「期待していたシーズンではない」と悔しがる。
今の課題は何か。「スピードに自信はあるけど、それを最終日まで継続しないと」と話す。今季は砂利や土など未舗装路面でのパンクが例年より多いと感じ、タイヤへの適応にも苦しんだという。「紙一重のところを綱渡りできる引き出しが必要」。ミスなく攻め続ける正確性を求めている。
全日本ラリー選手権などで活躍した範彦氏を父に持つラリー一家。レーシングカートを振り出しに、11歳からキャリアを積んできた。今季最終戦と来季を見据え、「自分を底上げし、最低でも常に優勝争い。ハイレベルな戦いをしていきたい」。表彰台の中央で、歓喜のシャンパンを浴びる姿を思い描く。
【時事通信社】
〔写真説明〕ラリー・ジャパン第2日の競技を終え、観客に手を振る勝田貴元=7日、愛知県豊田市
〔写真説明〕走行する勝田貴元のマシン=8日、岐阜県恵那市
2025年11月21日 07時11分