防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は20日、中国の軍事動向に関する年次報告書「中国安全保障リポート2026」を発表した。台湾や東・南シナ海情勢に関し、ロシアとの軍事協力が進展していると分析。両国と北朝鮮の3国関係が、インド太平洋地域の安保環境の不確実性を高めていると警戒感を示した。
リポートは、西側主導の国際秩序に対抗する形で、中ロの軍事演習や海・空の合同パトロールが常態化していると指摘。台湾問題など中国の課題にロシアが協力するケースが主で、「両軍関係の発展は中国の作戦能力の増強に資するもの」とした。
台湾に関しては2022年のペロシ米下院議長(当時)の訪問以降、人民解放軍が周辺での訓練活動を強化したと強調。台湾の政治情勢や米台関係の動向に応じて「活動の烈度を上げる態勢を取っている」と記した。
ロ朝との連携を巡り、今年9月に中国・北京で開かれた「抗日戦争勝利80周年」記念式典に3首脳が一堂に会したことに言及。これを契機とした3国間の戦略的連携の進展が想定されることや、アジアで「日米韓」と「中ロ朝」それぞれの陣営が結束を強めて対立する可能性を指摘した。
その上で、ロ朝接近は「北朝鮮の核・ミサイル能力の増強につながることは強く認識されなければならない」と警鐘を鳴らした。
第2次トランプ政権の対中政策については、中国内の専門家の分析を紹介。「米国の同盟ネットワークは維持され、先端技術面でも米国・同盟国の対中競争戦略に根本的な変化は生じていないとの見解が多数派だ」と記した。
【時事通信社】
2025年11月20日 05時12分
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