阪神の佐藤輝、成長実感の一年=亡き祖父に届けたMVP―プロ野球2025



阪神の佐藤輝明内野手にとって、2025年は忘れられないシーズンになるだろう。40本塁打、102打点の成績で打撃2冠に輝き、セ・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。プロ5年目での躍進に「個人的にもチームとしても最高の一年。何より求められるのは結果なので、そこを考えながらやった」。昨季まで穴も多かった長距離砲が、超一流に脱皮した。

右に左に豪快なアーチを架け、阪神を2年ぶりのリーグ優勝に導いた。自身が印象的な一発として挙げたのが、3月28日の広島との開幕戦の一回に放った1号2ラン。「大きかった。1打席目で出たことによって、自分の中でも『今年はいけるぞ』となった」。課題だった調子の波も、これまでの取り組みが実を結んで技術が向上し、見違えるように小さくなった。紆余(うよ)曲折を経てきたからこそ、「変わるためには積み重ねが必要」との言葉には実感がこもった。

特別な思いも後押しに。昨年、宮城県に住む祖父が亡くなった。幼少期に2人で野球をして遊んだ思い出は、佐藤輝にとってまさに「原点」。MVPを受賞した際のスピーチでは「感謝を伝えたい。きょうの姿を見せてあげたかったのが本音だが、天国で見守ってくれているんじゃないかな」。あふれる思いは尽きなかった。

球団初の連覇が懸かる来季。周囲の求める成績のハードルは上がる。「うまくなりたい、結果を残したいというのは全員が持っている気持ち。チームを引っ張れるような活躍をしていきたい」。確かな手応えを糧に、自分自身を超える戦いに挑む。

【時事通信社】 〔写真説明〕ヤクルト戦で40号となる2点本塁打を放ち、喜ぶ阪神の佐藤輝=10月2日、甲子園 〔写真説明〕ベストナイン賞を受賞した阪神の佐藤輝(左)=11月26日、東京都港区

2025年12月14日 10時58分


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