国土交通省は、市区町村をまたぐ優良な景観を保全するため、都道府県に調整の権限を与える方向で検討に入った。大きな山など複数の市区町村に関わる景観について、自治体間で規制の内容が異なるケースがあることから、都道府県が市区町村を交えた会議を設置できるようにする。来年の通常国会に景観法改正案を提出する方針だ。
政令市と中核市、希望する市区町村は「景観行政団体」として独自に計画を定め、建物の高さや色彩を規制できる。それ以外の市区町村は都道府県が作る景観計画の規制に従う。3月末時点で全国の約45%に当たる783市区町村が同団体になっている。
ただ、計画を作っている団体同士で規制の足並みがそろわないことがある。例えばA市は、隣接するB市の山を「重要な眺望対象」として計画に位置付け、眺望を妨げるものの設置を規制。一方、B市に同様の規制はなく、山の近くにソーラーパネルが置かれている事例がある。現行はA市による協議の申し入れにB市が回答する義務はなく、都道府県にも両市に協議を呼び掛ける権限はない。
そこで改正案は、都道府県が市区町村に対し調整や援助を行う権限を追加し、関係自治体による調整会議を設置できるようにする。市区町村には、都道府県の調整に応じる義務を課す。自治体間の話し合いが進めば規制の足並みがそろいやすくなり、景観を悪化させる施設の新規建設などを抑制できる。
また、都道府県が、景観行政団体も含め県内全域を対象にした「広域基本方針」も定められるようにする予定だ。
【時事通信社】
2025年12月13日 14時34分
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