
与野党は臨時国会の会期末を17日に控え、最終盤の攻防を繰り広げる。企業・団体献金規制と衆院議員の定数削減を巡って鋭く対立しており、来年1月召集の通常国会に持ち越される公算が大きい。立憲民主党は内閣不信任決議案の提出を見送るが、定数減にこだわる日本維新の会と、自民党の亀裂が表面化している。
参院予算委員会は15日、高市早苗首相と全閣僚が出席して2025年度補正予算案の審議を続行。自立両党は16日に締めくくりの質疑を実施することで合意している。補正予算案は同日中に予算委に続き本会議でも採決され、与党と国民民主、公明両党の賛成で成立する見通しだ。
一方、衆院政治改革特別委員会での企業献金見直し法案の審議は、自維が定数削減法案との並行審議を要求したことで混迷の度を深めた。
野党は与党が献金規制に消極的なことに加え、中小野党に影響する定数削減法案に「自動削減」規定を盛り込んだため「顔を洗って出直すべきだ」(立民幹部)と強く反発。特別委は15日に献金見直し法案に関する参考人質疑を行うが、その後の審議日程は白紙だ。
自民の梶山弘志国対委員長は「採決に向け最大限の努力をする」と説明するが、額面通りに受け取る向きはない。ベテランは「維新向けの首相のアピールだ」と冷ややかに語った。年内成立の旗を降ろさぬ維新は会期延長を唱え、自民に「全力で取り組む姿勢が足りない」(藤田文武共同代表)といら立ちをぶつける。
もっとも維新にとっては、通常国会で成立を目指す「副首都」構想関連法案が「最重要課題」(維新ベテラン)。奥の手の「連立離脱」カードを切って、不測の事態を招きたくないのも本音だ。「決めない国会、まっぴらごめんだ」。吉村洋文代表(大阪府知事)は12日、記者団にこう述べたが、連立への影響には言及しなかった。
内閣不信任案は高市政権が発足直後で高支持率を維持しているからか、ほとんど話題にならなかった。立民の野田佳彦代表は12日の記者会見で「評価を定めるのは時期尚早」と提出を見送る考えを表明。衆院採決で補正予算案に賛成した国公両党から協力を得られるめどは立たず、「提出しても気勢をそがれる」(若手)との判断に傾いた。
【時事通信社】
〔写真説明〕高市早苗首相(写真右)と日本維新の会の吉村洋文代表
2025年12月14日 07時04分