豊昇龍昇進、賛成わずかでも=いまだ横綱初賜杯抱けず―大相撲



大相撲の横綱豊昇龍は、最高位での初賜杯にまだ手が届いていない。1月の初場所後に昇進を果たしたが、新横綱として迎えた翌春場所、7月の名古屋場所を途中休場。当初から昇進は時期尚早との見方もあった。

番付編成を預かる日本相撲協会の審判部は初場所千秋楽の昼頃、豊昇龍の昇進について協議。関係者によると、この会議に参加した約20人の親方のうち昇進に賛成したのは2人だけ。「早過ぎる」として場所後の昇進は見送られるかに思われた。

一人横綱の照ノ富士が初場所序盤で引退し、最高位が空位になる危機。さらに10月にはロンドン公演が控えていたこともあり、興行面を重視する相撲協会上層部の意向が働いたとも言える。最終的に高田川審判部長(元関脇安芸乃島)が全責任を負うことを条件に、優勝なら昇進の方向で落ち着いた。

豊昇龍は9日目までに平幕相手に3敗を喫し、昇進は絶望的とみられていた。結果として昨年11月の九州、初場所の合計は25勝で綱とりを遂げたが、平成以降に誕生した横綱では最少の星数。場所前に「何があっても休場しない」と宣言した3月の春場所を休み、強引な昇進の裏にあった不安が的中した。

ただ、横綱になってから皆勤した3場所はいずれも終盤戦まで優勝争いに絡み、秋、九州と2場所続けて決定戦に進んだ。横綱としての初賜杯獲得が昇進9場所目だった音羽山親方(元横綱鶴竜)は「焦っても仕方がない。向上心を持ってやれば、もっと進化していく」と期待を込めて言う。

現状では相撲協会内で厳しい意見は出ていないものの、来年以降はどうなるか。初顔合わせから決定戦を含めて4連敗を喫している安青錦が大関に昇進しており、終盤戦はさらに厳しさを増すだろう。このまま賜杯を抱けない状況が長引けば、協会の判断に疑問を呈する声が再び上がる。

【時事通信社】 〔写真説明〕土俵入りする横綱豊昇龍=3月15日、エディオンアリーナ大阪 〔写真説明〕九州場所の優勝決定戦で安青錦に敗れ、悔しがる豊昇龍=11月23日、福岡国際センター

2025年12月14日 07時06分


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