
2021年東京大会で初めて五輪で実施された空手。悲願をかなえ、世界的な普及にもつながった一方、24年パリ、28年ロサンゼルス両五輪では実施競技から外れた。世界空手連盟(WKF)の奈蔵稔久事務総長が東京都内でインタビューに応じ、21年夏の開催から5年となる東京五輪のレガシーや、将来の五輪復帰に向けた思いを語った。
新型コロナウイルスの影響を受け、原則無観客で行われた東京五輪。理想の形ではなかったが、「空手界が待ち望んでいた素晴らしいイベントだった」とかみしめる。大会期間中のテレビの視聴者数やSNSのデータで、空手は世界中で大きな関心を集めたことが示されたという。
「一番目覚ましい変化は若い世代への浸透」と強調するように、五輪効果で若年層の競技人口が増加。競技面では、五輪を機に大胆な改革を断行し、形競技が旗判定から採点方式に変わった。「組織のマネジメント能力が向上し、空手の本質を見詰め直す機会になった」と評価する。
ただ、パリ五輪以降は実施競技にならず、「大きなダメージだった」。東京五輪前にパリでの除外が決まった際には、「コンセプトに合わない」との曖昧な理由を告げられた。ロスでも明確な説明はなく、奈蔵氏は「選考過程の不透明さに、強い問題意識を持っている」と憤りを隠さない。
国際オリンピック委員会(IOC)は32年ブリスベン五輪から実施競技の審査について、「競技」と「種目」の中間的な位置付けの区分「種別」単位で行うことを決定。「世界的な人気度」「コストと運営の複雑さ」などが評価基準と示された。奈蔵氏はこの変革を「極めてポジティブ」と歓迎。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子会長と意見交換し、復帰に向け精力的に動いている。
礼節を重んじ人格を形成する武道の側面も大切にし、護身術としての普及を目指す活動など社会貢献にも注力。空手が持つ多面的な価値を発信している。「スポーツとしての空手の究極目標は五輪。切実な思い。われわれは決して諦めない」。五輪返り咲きへ、歩みを止めない。
【時事通信社】
〔写真説明〕空手の五輪復帰への思いなどを語る世界空手連盟の奈蔵稔久事務総長=16日、東京都内
〔写真説明〕東京五輪の空手・女子形決勝で演武する清水希容=2021年8月、東京・日本武道館
2026年07月24日 07時08分