終戦80年、平和の誓い新た=天皇陛下「苦難語り継ぐ」―参列、戦後生まれ半数超・戦没者追悼式



終戦から80年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれた。天皇、皇后両陛下や石破茂首相、遺族ら4523人が参列。先の大戦により犠牲となった約310万人を悼み、平和への誓いを新たにした。

天皇陛下は「戦中・戦後の苦難を語り継ぎ、平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願う」と述べられた。

式典では正午の時報に合わせ、参列者全員で黙とうをささげた。陛下はお言葉で「終戦以来80年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられた」と言及。今年も「深い反省」との表現で追悼の意を表し、「戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」と述べた。

これに先立ち、石破首相は「戦争を知らない世代が大多数となった」とし、「進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、改めて深く胸に刻まねばならない」と強調した。その上で「歳月がいかに流れても、不戦に対する決然たる誓いを世代を超えて継承し、恒久平和への行動を貫いてまいる」とした。アジア諸国に対する責任には今年も触れなかった。

出征した父が復員中に亡くなった遺族代表の江田肇さん(82)=埼玉県川越市=は追悼の辞で、「世界では侵略などで多くの人々が犠牲となっている」とし、「わが国は平和の尊さを世界へ訴えることが求められている」と述べた。「私たち遺族は平和のありがたさ、戦いの悲惨さを後世に継承する」と誓った。

厚生労働省によると、遺族は3358人が参列した。最高齢は98歳で、最年少はやしゃご世代の3歳。8日時点では参列予定者3432人のうち戦後生まれが53.2%を占め、初めて半数を超えた。戦没者の親の参列は15年連続でなく、コロナ禍による縮小開催期間を除くと初めて配偶者も不在となった。

日中戦争以降に犠牲となった軍人・軍属らは約230万人、民間人は約80万人に上る。

【時事通信社】 〔写真説明〕全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下と皇后さま=15日午後、東京都千代田区 〔写真説明〕日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式=15日午前、東京都千代田区 〔写真説明〕全国戦没者追悼式で追悼の辞を述べる遺族代表の江田肇さん(左)=15日午後、東京都千代田区

2025年08月15日 18時40分


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