アフリカにも「目を向けて」=ガザ即時停戦も訴え―WFP事務局長



開催中の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のため来日したシンディ・マケイン国連世界食糧計画(WFP)事務局長が20日、横浜市で時事通信のインタビューに応じた。飢饉(ききん)や難民問題など人道危機が根深く残るアフリカ諸国について「時に忘れ去られている」と警鐘を鳴らし、「世界はそこで何が起きているのか常に目を向ける必要がある」と訴えた。

アフリカ北東部のスーダンでは2023年4月以降、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による内戦が続く。WFPによると、人口の半数に当たる約2460万人が深刻な食料不足に直面しているが、治安の悪化で支援が困難な地域があり、マケイン氏は「地球上で最大の人道危機」が起きていると指摘。中部コンゴ(旧ザイール)やサハラ砂漠南部一帯のサヘル地域などでも、人々が飢えに苦しんでいると窮状を訴えた。

飢餓が拡大するパレスチナ自治区ガザ情勢を巡っては、市民のためだけでなく、人道支援従事者を守る上でも「今すぐ停戦が必要だ」と強調。ガザ域内に入るトラックの数は現在、1日当たり最大100台と「少しだけ改善したが、まだ不十分だ」と指摘した。

一方、トランプ米政権が対外援助を大幅削減するなど、国連の財政状況は厳しさを増す。マケイン氏は、資金不足によりWFPは配給量の削減を余儀なくされていると明かし「空腹の人々から食料を奪い、(より深刻な)餓死寸前の人に振り分けるようで胸が痛い」と対応に苦慮していると説明。物資輸送を他組織と合同で行うなど「より効果的で効率的な取り組みを強化している」とも述べた。

そうした中でマケイン氏は、日本政府による長年の資金拠出や民間企業の協力に謝意を表明。「日本との官民パートナーシップをさらに発展させ、現場での支援拡充につなげていきたい」と抱負を語った。



◇シンディ・マケイン氏

シンディ・マケイン氏

23年4月から世界食糧計画(WFP)事務局長。米西部アリゾナ州出身。故マケイン上院議員(共和)の妻で、同氏との間に4人の子供がいる。元在ローマ国連機関米国代表部大使。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える国連世界食糧計画(WFP)のシンディ・マケイン事務局長=20日、横浜市西区

2025年08月21日 08時34分


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