落とし物、無駄にしない=ブランド品や希少カードも―遺失物センターが一括売却・警視庁



警視庁には昨年、東京都内で見つかった落とし物が過去最多となる約475万6000点届けられた。同庁によると、例年、落とし物の3割前後は持ち主の元に戻るが、保管期限までに申し出がなく、拾得者も所有権を放棄したものは都に帰属する。それらは中古品販売業者を通じて再販されたり、海外へ輸出されたりする。落とし物の行方を追った。

警視庁遺失物センターではこれまで、都の帰属となった落とし物は職員が「売り物になる」と判断した場合に業者へ売却していた。ただ、近年の採用難で職員減少が見込まれる中、年々増加する拾得物に関する業務の負担軽減は大きな課題。効率化を図るため、昨年度からは売れそうな物とそうでない物を仕分けず、入札で決まった業者に一括売却する方式に改めた。

今年度は、中古品販売事業などを手掛ける「ピーエックス」(埼玉県深谷市)が落とし物を買い取っている。毎週、3トンと4トンのトラック計2台でセンターから回収しており、年間引き取り総数は約130万~150万点に上る見込みだ。

片方だけの靴下や手袋など、売り物にならないもの以外は、デパートなどで開催する「忘れ物市」やオークションサイトで販売。国内で買い手が見つかりそうにないノーブランド品は、フィリピンなど海外に輸出する。

同社の与儀実良社長は「落とし物は世相を反映する」と語る。引き取る落とし物はワイヤレスイヤホンや傘などが多いが、最新モデルの電化製品やはやりのファッションアイテムも少なくない。サックスなどの高価な楽器、百万円以上の値が付く限定のポケモンカードが見つかることもあるといい、「何が出てくるか毎日わくわくする」とほほ笑む。

不要品や型落ち品が持ち込まれるリサイクルショップと比べ、新品トイレットペーパーや、デパートで購入したばかりとみられる高級ブランドの未使用品なども多く、「忘れ物市」は開店前に約200人が並ぶこともあるほど毎回、盛況という。

一括契約のため、同社の引き取り価格は廃棄物もブランド品も一律1点117円。仕分けに人件費が掛かることなどもあり、大きな利益が出るわけではないが、「落とし物には人の思いが詰まっている」と与儀社長は語る。

落ちている物を拾い、警察などに届ける。この行動は決して「当たり前ではない」と与儀社長。「誰かが善意で拾って届けてくれた物。できる限り無駄にはしたくない」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕ピーエックスが警視庁から引き取った傘やスーツケースなどの落とし物=19日、埼玉県熊谷市 〔写真説明〕ピーエックスが引き取った新品のトイレットペーパーなど=19日、埼玉県熊谷市

2025年08月31日 07時00分


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