野党、政権交代の機運なく=多党化影響、思惑ばらばら―自民党総裁選



石破茂首相の退陣表明に伴い次期臨時国会で行われる首相指名選挙を巡り、衆参両院で多数を占める野党から政権交代の機運が出てこない。7月の参院選で野党第1党の立憲民主党や日本維新の会が苦戦したのに対し、国民民主党は躍進。与党との距離感や国会での存在感発揮を巡り、各党の思惑に大きなずれがあるためだ。

「一応、野党間で協議はしなければいけない」。立民の野田佳彦代表は7日、記者団から「首相選挙で政権交代を目指すか」と問われ、積極的な姿勢を見せなかった。

野党各会派と無所属を合わせた勢力は、衆院が244、参院が126。それぞれ過半数(233、125)に達しており、結集すれば政権交代を実現できる計算となる。

その旗頭となるべき立民は、参院選で議席を伸ばせなかった。小沢一郎衆院議員らから批判が相次ぎ、野田氏は執行部刷新を強いられた。先の通常国会でも野党を結集して与党と対決する構図をつくれたとは言えず、党内から「野田氏で野党をまとめるのは無理」(関係者)との声が漏れる。

党内の混乱は維新も同様だ。参院選後に共同代表だった前原誠司氏ら執行部が引責辞任。新体制は「副首都」構想を大方針に掲げて党内をまとめ、態勢を立て直す狙いとみられる。構想実現へ自民に接近する構えで、藤田文武共同代表は7日、連立協議の可能性について「どのような新総裁が誕生するか見極めたい」と含みを持たせた。

衆参両院選挙で大幅に伸ばした国民民主は、次期衆院選でも議席を積み上げて中規模政党として「実力を付ける」(玉木雄一郎代表)ことが最優先。当面は看板政策の所得税の課税最低限引き上げなどについて、与党と交渉して実現し、有権者へアピールしたい考えだ。

玉木氏は首相指名について「新しい自民の首相で(国民民主の)政策が実現するか、よく考えて対応を決めたい」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者団の取材に応じる立憲民主党の野田佳彦代表=7日、東京・永田町の党本部

2025年09月09日 07時03分


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