
日本に昔から存在する在来馬で、全国で約140頭が生息する「木曽馬」。長野県木曽町の「木曽馬の里」では約40頭を飼育し、保護と利活用に取り組む。場長で保存会事務局長も務める中川剛さん(48)は「地域の人が必要と思ってくれる環境をさらにつくっていきたい」と意気込む。
木曽馬の里は1995年、保護などを目的に開田村(当時、現木曽町)が開設。御嶽山麓にある開田高原内の約50ヘクタールの敷地で、中川さんを含むスタッフ4人と地域おこし協力隊の2人が保護活動のほか、一般客向けの体験乗馬などを行う。
保護育成の「基本は繁殖にある」と語る中川さん。高齢化や肥満による発情不順など、受胎しにくい雌馬が多いことが繁殖の難点となっていたが、中川さんが事務局長を務める保存会では2020年から帯広畜産大と連携し、受精卵(胚)を別の雌馬の子宮内に入れる「胚移植」に挑戦し、里でも独自の胚移植を進め、確かな手応えを感じるようになったという。
「使ってもらう場があるから増やしていける」との思いから、里では馬の利活用にも力を入れる。地域の学校では里の木曽馬を用いた学習が取り入れられたほか、背が低く乗りやすく、上下の揺れも少ないという特長を生かし、里では身体機能の改善を目的としたホースセラピーも実施する。
需要先の拡大や人材不足などの課題もあるが、中川さんは「馬が素直に私たちの努力に応えてくれる瞬間がある。それが活動を続ける力になっている」と話す。「木曽馬の文化的価値を広く周知して、環境づくりに力を入れたい」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕木曽馬をなでる「木曽馬の里」場長の中川剛さん=2025年12月、長野県木曽町
〔写真説明〕木曽馬の里で、放牧場に向かう木曽馬の群れ=2025年12月、長野県木曽町
2026年01月14日 14時30分