
原発・エネルギー政策も衆院選で争点の一つに挙げられる。東京電力福島第1原発事故から15年。原子力を再評価する政党が増え、公約から「原発ゼロ」の文字は消えつつある。ただ、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)のデータ不正問題で安全性に対する不安が再燃し、有権者は難しい判断を迫られる。
「直ちに原発ゼロ」「2020年代に原発ゼロ」「30年代に原発ゼロ」「可能な限り速やかに原発ゼロ」。原発事故翌年の衆院選で、大半の政党は安全性を重視する世論を踏まえて「原発ゼロ」を訴えた。
しかし、原発の稼働停止やロシアのウクライナ侵攻で電気代が高騰すると、原発活用を求める声が高まった。人工知能(AI)の普及に伴う電力需要の拡大も見込まれ、政府は昨年2月にまとめたエネルギー基本計画に原子力を最大限活用する方針を明記した。
原発の再稼働に向けた地元同意手続きは高市政権下で加速した。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)は1月21日に再稼働。北海道電力泊原発(泊村)も来年再稼働する見通しだ。
衆院選で、与党の自民党と日本維新の会は、事故の教訓を踏まえた新規制基準に適合する原発の再稼働を進める方針を示した。国民民主党も脱炭素や電力供給の安定を重視し、早期再稼働をうたう。チームみらいは、電源構成に占める原発の比率を24年度の9.4%から30年に2割へ引き上げる目標を掲げた。
立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は「将来的に原発へ依存しない社会」を目指す。これまで立憲は「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」との理念を綱領に掲げてきたため、公明に合わせた現実路線への修正と受け止められた。これに対し、野田佳彦共同代表は「『依存しない』の延長線上には『ゼロ』も見えてくる」と説明。一方で原発再稼働を認める考えも示した。
共産党は「原発ゼロ」方針を堅持。社民党も脱原発を掲げ、れいわ新選組は即時廃止を主張する。
年明けには中部電力浜岡原発の不正が発覚した。原子力規制委員会の審査で地震の影響を意図的に小さく見せた可能性があり、原発全体の安全性や規制委の審査体制への疑念を生んだ。衆院選は、原発の功罪を改めて考える機会にもなりそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕候補者の演説に集まる聴衆=1日、東京都渋谷区
2026年02月03日 08時01分