
普段使う買い物バッグが、災害時にはバケツに―。東日本大震災は発生から間もなく15年を迎えるが、日本ではその後も大きな地震が続く。災害への備えが課題となる中、日用品を災害時にも使えるようデザインする「フェーズフリー」の考え方が広まっている。
フェーズフリー協会(東京都文京区)の佐藤唯行代表理事は2014年ごろ、行政などを中心に進める防災対策や、備えるためだけの防災用品の需要に限界を感じ、防災とビジネスの両立に向けてフェーズフリーの概念を提唱。同協会は、商品や施設などの認証制度の運用を担っており、今月時点で約200点が認証済みだ。
例えば23年認証の革靴は仕事用のフォーマルなデザインだが、運動靴の素材を使い足への負担を軽減。大震災では発生当日、首都圏で約515万人が帰宅困難者になったが、この革靴なら長時間歩いても負担は軽いという。また、普段は普通のスリッパだが、丈夫な素材でできており、災害時にはガラス片が散らばる家の中を歩ける製品もある。
災害で断水した際に、水を運搬できるバッグもある。普段は買い物などで使えるバッグだが、はっ水加工が施されており、水を入れても中から染み出ない。災害時に給水車などの水を入れて運ぶことが想定されている。
フェーズフリーの発想は日用品以外にも広がる。兵庫県は30年代前半の完成を目指し新庁舎の整備計画を進めるが、新庁舎では現在よりも会議スペースなどを拡張する方針だ。災害時には、避難住民の受け入れや支援物資の保管スペースとするなど、柔軟な活用を検討している。
佐藤さんは「防災の重要性を分かっていながらも、使用頻度の低さやコスト面から備えに踏み切れない人は多い」と指摘。「便利さと防災の両方を兼ね備える機能があれば、安心安全な社会の実現に近づくのではないか」と期待を込める。
【時事通信社】
〔写真説明〕バケツ代わりになるバッグなどを前にインタビューに答えるフェーズフリー協会の佐藤唯行代表理事=2025年12月、東京都文京区
〔写真説明〕インタビューに答えるフェーズフリー協会の佐藤唯行代表理事=2025年12月、東京都文京区
2026年02月24日 16時20分