
【ニューヨーク時事】米連邦最高裁が下した相互関税の違憲判決を受け、金融市場では事業者が支払った関税の返還作業が長期化するとの見方が広がっている。件数が膨大な上、政権が還付に後ろ向きなことが背景にあり、企業が払い戻しを求め、政権を相手取った訴訟が相次ぐ。各企業は還付金を設備投資に充当し収益拡大を目指すが、先行き不透明感が強く、経営戦略に影を落としそうだ。
最高裁は、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とした相互関税などを違憲と判断したものの、返還の是非には触れなかった。下級審に当たる国際貿易裁判所が何らかの決定を下すとみられる。
米金融大手ゴールドマン・サックスは、IEEPAに基づいて徴収された関税は1800億ドル(約28兆円)と試算し、「大半は今後1年程度で段階的に戻される」と分析した。最高裁が1998年、輸出事業者に課された港湾維持税を違憲と認定した後、総額7億ドルの返金に要した期間は約2年。過去の事例は一つの目安になるが、日系証券アナリストは「(今回は)件数が多く、計り知れない時間がかかる」とみている。
相互関税を巡っては、会員制量販店大手コストコのほか、豊田通商など日系企業も政権を提訴。米メディアによると、件数は1500件を超えた。違憲判決後には、物流大手フェデックスなどが訴訟を提起しており、こうした動きが一段と進みそうだ。
訴訟は還付の確率を高める上で「一定の価値がある」(米専門家)。だが、中小零細企業には費用面のハードルが高い。全米商工会議所は混乱回避や負担軽減に向け、即時返還を要求。ただ、トランプ大統領は「5年間は法廷闘争を続けることになる」と述べ、否定的な考えを示した。
トランプ政権は判決後、別の手段で関税措置を続けており、企業の負担感は解消されていない。こうした中、野党民主党の上院議員は、関税の返還を義務付ける法案を発表。中小企業を優先するよう求めている。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=24日、ワシントン(EPA時事)
2026年02月27日 07時55分