
東日本大震災の被災者らから学んだ教訓を次世代に伝えようと、大学生の団体が防災イベントなどに力を入れている。「学生らしい伝え方がある」。子どもたちに理解を深めてもらうため、重くなりがちな震災の学びの入り口を「楽しくする」のが彼らのやり方だ。
岩手県立大の学生団体「FROM」は2024年4月に設立された。小中学校の防災教育の出前授業を支援したり、震災伝承施設で体験型イベントを企画したりしている。メンバーは32人で、うち27人は防災士の資格を持っている。
総合政策学部2年の飯田花音さん(19)=栃木県出身=は大学の入学式直前、岩手県沿岸を震源とする最大震度5弱の夜明け前の地震を経験し、「一人では何もできない」と痛感した。団体で活動するようになり「周囲との協力の大切さを学んでいる」と話す。
同県宮古市出身の同学部1年の中村遥音さん(19)は震災時、4歳だった。避難所で地域の人に助けられた経験が原点となり、「守られる側から、守る側になりたい」と団体メンバーになった。震災を体験していない世代に「自分事として捉えてもらえるようにしたい」と意気込む。
団体は昨年9月、同県陸前高田市の震災伝承施設で、防災イベントを開いた。新聞紙を使ったスリッパ作りや防災クイズに挑戦した子どもたちが「楽しい」「もっとやりたい」と笑顔を見せるなど盛況だったという。
飯田さんらは子ども向けの防災イベントでは、学びが重くなりすぎないよう「楽しさ」を意識するように心掛けている。それが理解を深めるキーワードと気付いたのは同年8月、災害ボランティアなどに取り組む兵庫県立大学の学生団体「LAN」との交流がきっかけだった。
阪神・淡路大震災の被災地訪問時に意見交換し、被災時の対応を子どもたちが楽しく学べる自作の「防災すごろく」などを紹介された。「学生らしさを生かした伝え方があると学んだ」(飯田さん)という。
震災を経験していない世代が増える中、飯田さんは「(防災についての)学びを地域で実践することが、次世代に教訓をつなぐ力になる」と話す。若い世代がいま、震災伝承の新たな力となりつつある。
【時事通信社】
〔写真説明〕取材に応じる岩手県立大の学生団体「FROM」の飯田花音さん=1月15日、岩手県滝沢市
〔写真説明〕取材に応じる岩手県立大の学生団体「FROM」の中村遥音さん=1月15日、岩手県滝沢市
2026年03月07日 07時05分