
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の委員を務める秋月弘子亜細亜大教授(66)は、国際女性デーを前に時事通信のインタビューに応じた。男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で日本が148カ国中118位に低迷していることを踏まえ、「日本人は現実を直視すべきだ」と強調。ジェンダー平等に向け、専門に対応する国会の委員会や省庁を設置するよう強く求めた。
指数はスイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が毎年公表。直近の2025年版では、日本は先進国で最下位。とりわけ、政治参画の遅れが目立ち、「政治分野が日本のジェンダー平等を阻害している」と指摘する。
「世界の女性の憲法」と呼ばれる女性差別撤廃条約は1979年に国連で採択され、日本を含む189カ国が批准。締約国はジェンダー平等に反する国内法の見直しなどを通じて、暮らしや職場での「事実上の平等」を実現する義務を負う。委員会は各国の進捗(しんちょく)を監視し、取り組みが不十分な場合には勧告して是正を促す。24年秋には日本政府を審査し、勧告を含む「最終見解」を公表。選択的夫婦別姓の導入に加え、男女の賃金格差や、配偶者間の性暴力が犯罪とされていない現状の改善などを求めた。
委員会はまた、日本に対し、政治や行政、司法分野の他、企業の幹部で、男女比率を50対50にするよう要請。秋月氏は「日本のジェンダー不平等は構造的であり、人々の意識に深く根付いている。強力な法律と政策で一気に社会を動かさなければならない」と訴える。
具体策として、国会への「ジェンダー委員会」の設置を提案。「すべての法律をジェンダーの視点から点検し見直す必要がある」と主張した。さらに、世界の人権状況の研究や国内への啓発活動を担う「ジェンダー庁」の設置も挙げた。男女共同参画担当相が他の業務を兼任している現状には、「そのような片手間で担える仕事ではない」と手厳しい。
「日本の政治家に、あなた方がつくる法律や制度がどれほど大きな影響を及ぼすのか自覚しているのか、と問いたい」。日本初の女性首相が誕生したことを受け、秋月氏は「高市(早苗)首相のジェンダー政策を注視している」と語った。
【編集後記】
ほぼノンストップのインタビューだった。専門知識や数字を交えながら語る秋月氏の姿からは、ジェンダー平等の問題をどうしても訴えたいという思いがひしひしと伝わってきた。せっかくの国連審査を日本が生かし切れないのは、どこに課題があるからなのか。記事では政治分野を中心に取り上げたが、国際社会に向けた発信力の弱さなど他の要因もあることが分かった。「日本では平等施策は進まないのが当たり前」と思ってしまってはいけない。進まない現実にこそ声を上げる必要がある。他国は着実に変化を遂げているのだから。(時事通信編集局記者・湊屋暁子)。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに応じる秋月弘子氏=2月25日、東京都武蔵野市の亜細亜大学
〔写真説明〕国際女性デー2026
2026年03月08日 14時37分