「自律」安全、高い難易度=世界でも実用例少なく―民間ロケット「カイロス」



民間単独開発では国内初となる人工衛星の軌道投入を目指した宇宙ベンチャー企業スペースワン(東京)の小型ロケット「カイロス」の打ち上げは、三たび失敗に終わった。5日の記者会見で不具合の可能性が指摘された「自律安全飛行システム」は低コスト化に有効だが、実用までこぎ着けた例は米スペースXなど世界的にも限られ、技術的なハードルは高いと言える。

ロケットは地上への墜落被害を防ぐため、異常時に機体を破壊し、飛行を中断する装置の搭載が法律で義務付けられている。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の場合、ロケットと無線通信を行う地上局を飛行経路に設置し、人が中断を判断して、地上局経由で破壊指令を送る。自律システムはH3ロケットなどで試験が行われているが、実用化には至っていない。

ただ、民間企業の場合、地上局を設置・維持するのはコスト面で不利だ。さまざまな軌道への打ち上げに対応するためにも、ロケット自身が機体の位置や状態をリアルタイムに把握し、必要に応じて飛行を中断する自律システムが必要になる。

その場合、安全を確保するために、確実に動作するシステムが要求される。一方で、設定が厳しすぎると、影響のない範囲の誤差でも飛行中断となってしまい、そのさじ加減が難しい。2024年3月のカイロス初号機では、発射直後の上昇速度が想定よりわずかに遅かったことが検知され、打ち上げは失敗。スペースワンは、設定の見直しなどを行った。

3号機では、2系統ある同システムの片方に異常が起きた可能性が高いことが判明している。同社によると、どちらかで異常があれば、機体側に問題がなくても作動する設定といい、システムとしては正しく機能したが、結果的に健全な機体を失うことになった。

東京理科大の小笠原宏教授(航空宇宙工学)は「スペースXも米航空宇宙局(NASA)と行った飛行で、マニュアルの飛行安全装置と一緒に自律機器を載せてその判断を評価する『シャドーフライト』を繰り返してきた」と指摘。「数をこなして、実績を積むことが正しいやり方だ」と話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕飛行中断措置が行われた民間小型ロケット「カイロス」3号機=5日、和歌山県那智勝浦町から撮影

2026年03月09日 07時06分


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