「大国」への野心隠さぬネタニヤフ氏=軍事力背景に秩序構築―イランとの「終わりなき戦い」指摘も・イスラエル



【カイロ時事】「われわれは歴史的な時代にいる」。イスラエルのネタニヤフ首相は先週の記者会見でこう述べ、対イラン軍事作戦を継続し、圧倒的な軍事力を背景に中東の秩序を自ら構築する「大国」への野心を隠さない。ただ、イランは消耗戦を戦い抜く構えを崩しておらず、イスラエルは「終わりなき戦い」(同国紙ハーレツ)に身を投じたとの指摘もある。

◇総選挙控え戦意高揚

イスラエル軍は米軍と共に作戦を開始した直後にイランの最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害。その後も核・弾道ミサイル関連施設や精鋭軍事組織「革命防衛隊」施設などに大打撃を与えた。ネタニヤフ氏は会見で「中東のパワーバランスを変える偉業を達成した」と自賛。大国になれば「危険を遠ざけ、将来を確実にする力を得られる」と主張した。

イスラエルは、2023年のパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの衝突開始以降、ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを壊滅状態にした。さらにこれらの組織の後ろ盾イランを弱体化させることで、軍事力によって自国に有利な国際環境を築こうとしている。

ネタニヤフ氏の「大国」発言には、戦闘長期化を視野に国民の戦意高揚を図る思惑も透ける。10月までに予定される総選挙を見据えた支持固めの意味合いもありそうだ。

◇体制転換でなく「芝刈り」

一方、ハーレツ紙は、対イラン作戦の内実は体制転換など中東地域で大きな変動をもたらすものではなく、一時的に軍事力低下を図る「芝刈り」戦略にすぎないと指摘する。脅威が増大するたびに伸びた芝を刈るように攻撃して紛争を「管理」する手法で、ガザへの対処で使われてきた。

ただ、イスラエルは中東随一の軍事力を誇示するものの、防衛・財政両面で米国に大きく依存する。ガザでハマスに行ってきたように、イランを相手にイスラエルが望むタイミングで定期的に攻撃する能力があるかは不透明だ。

イランではモジタバ・ハメネイ師が新最高指導者となりイスラム体制は存続。湾岸諸国の石油施設や原油輸送の要衝ホルムズ海峡周辺への報復攻撃は続いている。紛争が「管理不能」に陥りエスカレートすれば、巻き込まれた格好の湾岸諸国がイスラエルへの反発を強めるのは必至だ。ネタニヤフ氏の思惑とは裏腹にイランが中東で主導権を握ることも否定できない。

【時事通信社】 〔写真説明〕イスラエルのネタニヤフ首相=2月26日、エルサレム(AFP時事)

2026年03月19日 07時00分


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