
高市政権がウクライナ侵攻を続けるロシアへの対応を巡り、配慮をにじませている。背景にあるのは、中東情勢の混迷により喫緊の課題となったエネルギー調達先の多角化だ。対ロ制裁で国際社会と足並みをそろえつつ、原油などを確保するため関係維持を図る狙いがある。
「ロシアはわが国の隣国であり、2国間関係を適切に維持することは重要だ」。木原稔官房長官は3日の記者会見で、ウクライナの首都キーウに対するロシアの大規模攻撃を「暴挙」と非難しつつ、こう指摘。「わが国の外交全体で何が国益に資するか、という観点から適切に対応する」と表明した。
米国とイランの戦闘終結合意で当面の「エネルギー危機」は避けられたが、情勢はなお不安定。政府関係者は「エネルギー安全保障は1970年代のオイルショック時からの至上命令だ」と語る。
エネルギー供給不安の広がりを受け、政権は代替調達先の確保を模索。その過程で浮上したのが資源大国ロシアだ。経済産業省幹部らが5月下旬に同国を訪問。「日本企業の資産保全」が目的だと説明したが、原油の供給につなげる狙いだったとの見方は強い。
経産省が6月30日に発表した5月分の石油統計速報によると、ロシアからの原油輸入は約76万バレル。昨年も6月に約60万バレルの輸入があり、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアと比べて大幅に少量ながら途絶えていない状態だ。
日本政府はウクライナを支援する姿勢を堅持。国光文乃外務副大臣が6月に現地を訪れ、茂木敏充外相はシビハ外相を東京に迎えた。一方、フランスで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の際、高市早苗首相とゼレンスキー大統領の会談は行われなかった。
ロシア側も揺さぶりをかけてきている。自民党の鈴木宗男参院議員を通じ、フィリピンで今月開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議に合わせて外相会談を調整する用意があると伝えてきた。
ただ、日本だけ突出すれば国際社会から非難を受けかねない。安保分野に詳しい自民ベテランは「ロシアへの接近にはリスクがある」と指摘。木原氏は3日の会見で「国際社会と連携しながら対ロ制裁を行う方針」にも言及した。
【時事通信社】
〔写真説明〕閣議に臨む木原稔官房長官(中央)=3日、首相官邸
2026年07月04日 07時02分