【ワシントン時事】ブリンケン米国務長官は3日、国務省で行った初の外交演説で、中国について、経済・外交・軍事・技術力を通じて「国際システムに重大な挑戦をする唯一の国だ」と述べ、同盟国と協調して対抗する意向を表明した。民主主義の再生などと共に対中政策を八つの優先課題の一つに挙げ、最重要視する考えを示した。
ブリンケン氏は、中国を「21世紀で最大の地政学的試練」と位置付け、安全保障面で脅威になると指摘。同盟国との連携や国際機関への関与、人権の重視などを通じ、米国が「強い立場」に立つことで、中国との「競争に打ち勝つことができる」と主張した。
同盟関係の再活性化も優先課題に掲げる一方で、「真の協力とは負担を共に担うことだ」と指摘。日本や欧州などの同盟国を念頭に防衛面での負担増を暗に求めた形だ。
また、民主主義の推進について、「軍事介入や軍事力による体制転換を通じて民主主義を広めることはしない」と強調。軍事行動よりも外交による問題解決を優先すると約束した。ただ、先月末に行ったシリアでの親イラン派民兵組織への空爆を挙げ、米国人の命や重大な利益が危機にさらされれば、「軍事力行使を決してためらわない」とも述べた。
ブリンケン氏はほかの優先課題として、新型コロナウイルス対策▽安定した国際経済の構築▽人道的な入国管理制度▽気候変動対策▽技術での主導権確保―を掲げた。
【時事通信社】
〔写真説明〕3日、ワシントンの米国務省で、演説するブリンケン国務長官(AFP時事)
2021年03月04日 08時51分