
【江門(中国広東省)時事】中国の素粒子ニュートリノ観測施設「江門ニュートリノ実験」(JUNO)は19日、施設完成を記念するイベントを開いた。これに先立ち施設が報道公開され、JUNO幹部は「世界トップ水準の研究に取り組む」とアピール。日米が先行する同研究で追い上げを図る考えを示した。
JUNOは岐阜県飛騨市に建設が進む「ハイパーカミオカンデ」と同じ次世代の素粒子観測施設で、8月下旬に本格稼働したばかり。自然界には質量がごくわずかに異なる3種のニュートリノが存在しているが、これらの質量測定を主な目的とする。
地下700メートルにある観測エリアには、トロッコ列車に乗って向かう。報道陣には、ニュートリノを検出する最新装置の真上にある部屋や冷却設備が公開された。JUNOはこの日、ニュートリノの質量を測定するのに必要な観測値を絞り込むことに成功したと明らかにした。
施設の本格稼働から3カ月未満での成果発表は異例。中国科学院高エネルギー物理研究所の曹俊所長は取材に対し「(ニュートリノの)検出能力が高いので、効率良くデータを集めることができる」と説明した。
中国共産党は10月に開いた重要会議で基礎研究への投資の割合を高める方針を決定。素粒子物理学は重点分野の一つとみられている。
〔写真説明〕中国の素粒子ニュートリノ観測施設「江門ニュートリノ実験」(JUNO)の地下にある装置=18日、中国広東省
2025年11月20日 13時42分