検察「不服」禁止、回答の全員賛成=再審制度見直しで研究者19人―時事通信アンケート調査



確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを巡り、再審に関する論文を出した研究者24人に時事通信がアンケート調査を実施した。その結果、回答した19人全員が再審開始決定への検察官の不服申し立て禁止に賛成した。

静岡一家4人殺害事件で死刑となり、再審公判で無罪が確定した袴田巌さん(89)のケースでは、検察側の即時抗告を受け、再審開始決定の確定までに約9年を要した。手続き長期化の要因と指摘されており、超党派議員連盟がまとめた改正法案では不服申し立ての禁止が柱となっている。

再審制度の見直しは法制審議会(法相の諮問機関)部会でも議論されているが、不服申し立ての禁止には検察官や学者の委員ら多数が反対や慎重な姿勢を示している。アンケートで妥当と評価できるか尋ねたところ、18人が「評価できない」、1人が「どちらかと言えば評価できない」と回答した。

部会では、捜査機関保有の証拠開示の範囲についても議論されている。これまでの議論を踏まえ、開示範囲が広がると期待できるか聞いたところ、「どちらかと言えば期待できない」が6人、「期待できない」が11人で、否定的な見方が多数を占めた。

超党派議連の改正法案には、申立人が証拠開示請求した場合に裁判官が原則として開示命令を出す規定なども盛り込まれた。この内容については「賛成」8人、「どちらかと言えば賛成」9人で、反対はなかった。

アンケートは10~11月、過去10年以内に再審に関する論文発表を確認できた国内の現職研究者24人を対象に実施。改正法案や法制審部会での議論など計11項目について書面で尋ねた。

法制審部会の委員14人のうち学者は6人を占める。6人には別途、論文発表の有無を確認。2人は「書いていない」と答え、4人は多忙などを理由に回答しなかった。

〔写真説明〕再審制度の見直しを議論する法制審議会刑事法部会=10月31日、東京・霞が関の法務省

2025年11月17日 09時04分


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