青年海外協力隊、ラオスに「第1号」=派遣60年、愛子さま17日訪問



天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、17日からラオスを訪問される。初の外国公式訪問先となる同国は今年、日本との外交関係樹立70周年を迎え、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊が60年前に初めて派遣された国でもある。隊員第1号の男性は、愛子さまの訪問で「両国関係がさらに発展するように」と願う。

青年海外協力隊は1965年、発展途上国を対象にしたJICAのボランティア事業として始まった。シニア海外協力隊なども含めたJICA海外協力隊の派遣人数は今年9月末までに累計約5万8000人。うちラオスには約1100人が配属された。

ラオスに65年に派遣された初代隊員5人のうちの1人、大西規夫さん(84)=東京都渋谷区=は、北海道秩父別町の農家出身で、日本式稲作の指導者としてラオスの「サラカム稲作試験場」に向かった。当時は「試験データや道具、何もなかった」という。

ただ、現地の人々はフルーツを分けてくれるなど「非常に親切」で、交流をする中でラオス語も習得。トラクターや鎌といった道具をそろえた2年目は、じかに種をまく現地の稲作を変えようと、水田に入って苗を植えていった。

同国は当時、ベトナム戦争に巻き込まれており、「家に帰ったら、ベッドが焦げて爆弾の破片が付いていた」こともあったが、無事約2年の任期を終えた。

今年10月、派遣60周年式典に出席するため、58年ぶりに現地を訪問。水田では立派な稲穂が実り「日本の風景と同じで感激した」という。

皇室と海外協力隊員との交流は、上皇ご夫妻(当時は皇太子ご夫妻)が、出発前や帰国後の大西さんら初代隊員に面会して以降継続。現在は秋篠宮ご夫妻が出発前、両陛下が帰国後の隊員のあいさつを受けている。

日本赤十字社に勤務する愛子さまは、ボランティア活動に強い関心を持つ。現地で看護職などの隊員と懇談し、隊員が配属されている武道センターや国立博物館も訪れる。大西さんは「こういうボランティアの形態もあると認識できるいい機会。隊員の活動を肌で感じていただきたい」と期待する。

【時事通信社】 〔写真説明〕青年海外協力隊員らと面会される上皇ご夫妻(当時は皇太子ご夫妻)。右から2人目の男性が隊員第1号の大西規夫さん=1968年3月、東宮御所(現・仙洞御所)(大西さん提供) 〔写真説明〕取材に応じる青年海外協力隊元隊員の大西規夫さん=5日、東京都渋谷区

2025年11月16日 07時09分


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