森重昭さんが死去=オバマ氏と抱擁の被爆者―広島



被爆者で歴史研究家の森重昭(もり・しげあき)さんが14日午後5時42分、広島市内の病院で死去した。88歳だった。同市出身。葬儀は親族で済ませた。2016年5月、現職の米大統領として広島を初訪問したオバマ大統領(当時)と抱擁を交わす姿が世界に報道された。後日、お別れの会を開く予定。

8歳のとき、爆心地から約2.5キロの地点で被爆。校舎にいた児童らが全員犠牲になった済美国民学校に通っていたが、原爆投下直前に転校したため生き残った。戦後、同校敷地内で米兵の遺体が見つかったと知ったことなどがきっかけで、被爆死した米兵捕虜の研究を開始した。

会社勤めの傍ら資料収集や聞き取りを重ね、被爆死した米兵捕虜12人を特定。「敵国だけど、原爆で死んだ米兵も人間。最期の様子を知りたがっているに違いない」と米国の遺族を捜し当て、名前と遺影を国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に登録した。

16年に広島を初訪問したオバマ氏にそっと抱き寄せられ、涙ぐんだ。その際のオバマ氏の演説で「この地で死亡した米国人の家族を捜し出した男性がいる。彼らと自分自身の損失は同じと信じていたからだ」と紹介された。

18年5月には念願の初訪米を実現。ニューヨークの国連本部などで開かれた自身のドキュメンタリー映画の上映会に出席したほか、米兵追悼式典に参加して遺族と対面した。

「お金儲けや売名行為じゃなく、少しでも平和の役に立てばと全生涯を懸けた。だって僕は被爆者ですから」。長年にわたり地道に調査を続けた。

〔写真説明〕平和記念公園を訪問したオバマ米大統領(当時)と抱き合う被爆者の森重昭さん(右)=2016年5月27日、広島市中区

2026年03月17日 18時05分


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