
割れんばかりの拍手に包まれ、懸賞金の束を受け取った。義ノ富士は「手の感覚が分からなかった」と率直に振り返った。大の里に土をつけての初金星獲得に、夢うつつの表情を見せた。
左を固めて鋭く当たり、横綱得意の右差しを封じる。自身はもろ差し狙い。相手が苦し紛れに引いたところを勢いよく押し出した。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)と練った作戦通りの相撲を披露した。
横綱初挑戦だった9日目の豊昇龍戦は「負けたらどうしよう、と思った」と言う。弱気になった反省を胸に、土俵下から集中力を高めていた。
大の里とはプロでは初顔合わせながら、日大時代には、日体大に在籍していた相手に勝った経験も。「入った頃から上の存在。当時の印象は捨てて臨んだ」。一学年上の先輩を無我夢中で破った。
熊本県出身。準ご当所で、会場を訪れた父親にも胸を張れる金星を届けた。注目度も日に日に高まる中、「自分は気にしていない。あしたからもまた自分の相撲を取る」。無欲で終盤戦に挑む。
【時事通信社】
〔写真説明〕義ノ富士(右)は大の里を押し出しで破り、金星=18日、福岡国際センター
2025年11月18日 20時55分