巨人・田中将、苦境救った野村さんの教え=「外角低め」軸に日米200勝―プロ野球2025



苦しい時に支えとなったのは、生前の野村克也さんから教わった制球重視の心構えだった。巨人の田中将大投手が9月30日の中日戦でシーズン3勝目を挙げ、日米通算200勝を達成。2023年に右肘を手術して肉体的なピークが過ぎ、勝ち星から見放される間、恩師から若い頃に掛けられた言葉に救われた。

北海道・駒大苫小牧高から07年に楽天入り。ルーキーイヤーの3月に先発でデビューを果たしたが、2回持たず6失点と散々な内容だった。以降、当時の野村監督は登板後はいつも隣に座り、熱心に指導した。「ピッチングで一番大事なのはコントロール」。その教えは壁にぶつかるたびに自身の迷いを振り払ってくれた。「外角低めはいつでも投げられるように」と田中将。自らの投球の軸ができた。

新天地の巨人で迎えたプロ19年目の今季。最初の登板ですんなり1勝を挙げた後に不調に苦しんだが、桑田真澄2軍監督の言葉で原点に立ち返った。「野球の歴史でどの時代のデータを取っても、アウトローというのは一番打率が低い。僕自身、アウトローで生きてきた人間」。野村さんの教えと同じだった。

周囲の期待とは裏腹に、田中将にとってもどかしい結果が続いた。それでも、恩師の言葉を忘れず懸命に調整。「コース、高さを引き続き意識しながら」。制球の大切さを何度も口にしてきた。

秋になり、今季最後の登板でようやく節目に到達すると「感無量」とほっと一息ついた。「野村さんに『時間がかかり過ぎだ、ばか』と言われそう」。胸のつかえが取れたような、すがすがしい笑顔だった。

【時事通信社】 〔写真説明〕日米通算200勝を達成した巨人先発の田中将大=9月30日、東京ドーム 〔写真説明〕試合中、ベンチで談笑する楽天の野村克也監督(左)と田中将大=2007年4月28日、フルキャストスタジアム宮城

2025年12月13日 10時47分


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