ウクライナ東部要衝で激戦=ロシア軍が猛攻、陥落の恐れ



ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシクで猛攻を仕掛けている。この地はウクライナ軍の補給路に当たり、陥落すれば、同国のゼレンスキー政権が死守する事実上の州都クラマトルスクなどが危険にさらされる。同州の命運を左右する市街戦が激しさを増している。

ロシアのプーチン大統領は今年、和平仲介を試みたトランプ米大統領にドンバス地方(ドネツク州とルハンスク州)の割譲を要求。ゼレンスキー大統領は停戦どころかさらなる侵略の拠点にされるとして拒否し、首脳外交は頓挫した。

クラマトルスクはウクライナ軍が築いた「要塞(ようさい)地帯」の一部で、ロシア軍の前進を阻んできた。プーチン政権にとり、親ロ派が多く「固有の領土」と一方的に見なすドネツク州全域の掌握は、軍事的にも大義名分上も達成したい目標。しかし、侵攻4年目に入っても実現できていない。

ロシア軍は昨年2月、同州の激戦地アウディイウカを攻略。そこからポクロウシクに向けて約40キロ前進したが、1年半以上も要した。最近、ゼレンスキー氏は「この方面の戦況は厳しい。これまで敵軍約17万人が投入された」と危機感を表しつつ、ロシア側も大きな人的損害を被ったと指摘した。

プーチン氏は10月下旬、ポクロウシクのウクライナ軍が「包囲されている」と主張。ゼレンスキー政権はこれを否定し、徹底抗戦を訴えている。ただ、ロシア軍はドローン戦で優勢にあるほか、既に市街地に兵士300人以上を侵入させており、両軍のいずれが統制しているか分からない「グレーゾーン」と化したと伝えられる。

【時事通信社】 〔写真説明〕ウクライナ東部ドネツク州の前線部隊を訪問するゼレンスキー大統領(右)=4日(大統領府提供・EPA時事)

2025年11月13日 12時44分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース