李大統領、徹底した責任追及強調=野党は依然逆風―韓国・戒厳1年



【ソウル時事】韓国の李在明大統領は3日、尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言から1年を迎え、国民に向けた特別談話を発表した。李氏は「民主主義の回復」を誇ると同時に、尹氏らに対する責任追及を徹底する考えを表明した。一方、尹氏を支えた保守系最大野党「国民の力」は、非常戒厳を総括できず、逆風にさらされたまま。党内に路線対立を抱え、再建の道筋を描けていない。

李氏は「民主主義の危機を平和的な方法で克服した国民こそ、ノーベル平和賞を受賞する十分な資格がある」と強調。12月3日を「国民主権の日」に指定すると明らかにした。

また、「私的な野望のために憲政秩序を破壊し、戦争まで企てた非道は必ず審判を受けなければならない」と述べ、真相究明と関係者の処罰を経てこそ、「国民統合」が可能という考えを示した。

李氏にとって、責任追及を進め、国民の力を「内乱勢力」と印象付けることは、現在の高支持率を維持する上でも好都合と言える。

これに対し、国民の力の張東赫代表は3日、SNSへの投稿で「非常戒厳令は国会の暴挙に対抗するためだった」と述べ、与党「共に民主党」を批判しつつ尹氏を擁護した。8月に代表に就任した張氏は、10月に拘置所の尹氏と面会。6月の大統領選敗北にもかかわらず、尹氏を支持する右派勢力の主張に沿った路線から脱却できずにいる。

しかし、世論の大半は尹氏に否定的評価を下しており、国民の力の支持率は低迷。党内には、来年6月の統一地方選をにらんで路線転換を求める声も多い。同党所属議員25人は3日、国会で記者会見し、戒厳は「自由民主主義を否定し、踏みにじる反憲法的、反民主的行動だった」と国民に謝罪。尹氏との決別を表明した。

【時事通信社】 〔写真説明〕3日、ソウルで記者会見に臨む韓国の李在明大統領(AFP時事) 〔写真説明〕韓国の保守系最大野党「国民の力」の張東赫代表=9月22日、南東部・大邱(EPA時事)

2025年12月04日 07時03分


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