
【香港時事】香港で7日、立法会(議会、定数90)選挙の投票が行われた。中国主導で選挙制度が大幅に変更され、「愛国者」と認められた候補しか出馬できなくなってから2回目の選挙。民主派は排除され、親中派「圧勝」が確定している。北部の高層住宅で火災が発生し、多くの市民が悲嘆に暮れる中、政府は選挙の実施に踏み切った。
立法会選は、2021年の抜本的な選挙制度変更で定数が70から90に増えた一方、一般市民が投票できる直接選挙枠は35から20に削減された。事前の資格審査が導入され、政府に忠誠を誓うことが義務化した。
今回は計161人が立候補。親中派で固めた選挙委員会枠(定数40)に50人、業界団体枠(同30)に60人、民意が反映されやすい直接選挙枠(同20)に51人が出馬した。
香港では伝統的に市民の約6割が民主派支持とされる。ただ、選挙から民主派が排除され、争点も乏しいことから関心は低い。前回21年の直接選挙枠の投票率は30.2%と、過去最低だった。
今回、香港政府は選挙の正統性をアピールするため、投票時間を延長するなど投票率向上に努めた。こうした中、11月26日に北部・新界地区大埔の修繕中の高層住宅で大規模火災が発生。159人が犠牲になり、一部の選挙関連イベントは中止された。工事現場の安全管理に対する当局の監督責任を問う声が市民の間で広がり、政府に逆風が吹いている。
火災を受け、立法会選延期の可能性も取り沙汰されたが、政府トップの李家超行政長官は今月2日、「予定通り行う」と表明。期日通りの実施は「社会の安定を維持し、火災後の復興作業を力強く支えることになる」と訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕7日、香港の立法会選挙で票を投じる李家超行政長官(ロイター時事)
2025年12月07日 16時32分