
【イスタンブール時事】イランは最高指導者ハメネイ師殺害の報復として、イスラエルや中東の米関連施設への攻撃を強化し、徹底抗戦の姿勢を崩していない。湾岸諸国では米軍基地だけでなく、空港や民間施設も標的となった。各国は迎撃にとどめているが、反撃に乗り出せば戦火が一段と拡大する恐れもある。
イランは連日、ペルシャ湾対岸のアラブ首長国連邦(UAE)やカタール、バーレーン、サウジアラビア、クウェートなどにミサイルや無人機で攻撃を続けている。2月から米国とイランの核協議を仲介した「中立国」のオマーンも港湾施設への攻撃にさらされた。
いずれの国々も米国と緊密で、各地に米関連施設を抱える。ただ、民間人も多い国際空港やホテル、商業施設に被害が波及し、サウジやカタールでは製油所やエネルギー施設が攻撃で操業を停止した。
UAEやカタール、サウジは近年、海外からの旺盛な投資で急成長した。イランの攻撃が長期化し、繁栄の前提となってきた政治や社会の安定が揺らげば、経済・金融活動や市民生活への悪影響は必至だ。AFP通信によれば、UAEの大統領顧問はイランに対し「近隣国との戦争ではない。理性を取り戻せ」と訴えた。
イランは一連の攻撃を「自衛のため」と正当化し、中東諸国と交戦する意図はないと主張。被害が広がることで、米イスラエルへの停戦圧力を強めたい思惑もあるもようだ。しかし、米ニュースサイト「アクシオス」は関係筋の話として、一部の中東諸国がイランへの直接報復を検討していると伝えた。
昨年6月の米イスラエルとの戦争で、イランはミサイル製造拠点などに打撃を被ったが、その後も弾道ミサイル開発を継続。イスラエルの推計では、保有量が2027年末までに少なくとも5000発に達する可能性がある。体制崩壊の危機に直面する中、大量のミサイルと無人機を総動員して反撃せざるを得ず、現時点で報復攻撃が弱まる兆候は見られない。
ハメネイ師は生前、「攻撃されれば地域を巻き込んだ戦争になる」と警告していた。イランで外交と国防を統括する最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は「トランプ(米大統領)の希望的観測が地域全体を不必要な戦争に巻き込んだ」と批判した。
【時事通信社】
〔写真説明〕1日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、イランによる攻撃を受けて立ち上る黒煙(AFP時事)
2026年03月03日 20時34分