
親を亡くした子や親に障害のある子を支援する「あしなが育英会」(東京都千代田区)から奨学金を受給する高校生の厳しい生活状況が23日までに、同会の調査で分かった。金銭的理由で部活動参加や家族旅行を諦めるなど、同会は「高校生にとっての『当たり前』が貧困によって損なわれている」と分析している。
調査は8~9月、オンラインと郵送で、同会の奨学金を受給する高校生とその保護者を対象に実施。高校生2157人、保護者2264人から回答を得た。
高校生への調査では、51.2%が「年に1回の家族旅行」を望みつつも実現していないと回答。所持や経験をしたくてもできていないことを問うと、「月5000円ほどの自由に使えるお金」(36.2%)、「友人が着ているような洋服」(30.7%)などが3割を超え、「定期的なヘアカット」と答えた高校生も21.1%いた。
部活動には約4割が不参加だった。「アルバイトなど仕事が忙しい」(21.0%)や「費用がかかる」(18.2%)、「家族の世話や家事などがある」(13.9%)といった理由(複数回答可)が目立った。
最近1年間の家計について保護者に質問したところ、金銭が足りず食料を買えなかったことがあったとした世帯は52.2%に上った。また、14.4%が電気代を、10.5%が家賃を滞納したことがあると回答した。
保護者の自由記述欄には、「子どもの希望に応えられずつらい」という無力感や、「食料を満足に買えない。風呂に入るのも週1回がやっと」といった厳しい生活状況がつづられていた。
村田治会長は「実態をより調査し、子どもと保護者の幸福につながる支援の制度設計を考えていきたい」と話した。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する「あしなが育英会」の村田治会長=1日、東京都千代田区
2025年12月24日 07時05分