南部分離派巡り混乱深刻化=UAEがサウジと確執―親イラン派「漁夫の利」も・イエメン情勢



【カイロ時事】暫定政権と親イラン武装組織フーシ派による内戦が続く中東のイエメンで最近、分離独立派「南部暫定評議会(STC)」が存在感を増し、混乱に拍車を掛けている。STCを支援するアラブ首長国連邦(UAE)と暫定政権側に付くサウジアラビアとの確執も深まる。結果的にフーシ派が「漁夫の利」を得ることになりそうな構図だ。

◇「収束」後も混乱

STCは2017年、南部の政治指導者を中心に結成された。イエメンは1990年まで南北に分断されていた経緯があり、STCは南部独立を志向。対フーシ派では暫定政権と協力していたが、昨年12月にハドラマウト州など東部で支配地域を拡大し、今年に入り2年以内に南部独立を問う住民投票を行うと表明した。

これに対し、同州に隣接するサウジは「国家的脅威だ」としてSTCの拠点を空爆。サウジ主導の連合軍の軍事作戦を受け、暫定政権トップのアリーミ大統領評議会議長は10日、STCから東部の支配権を奪還し、混乱が収束したと主張した。

STC指導者はUAEに逃亡。STC幹部は9日、訪問先のサウジで同組織の解散を宣言したが、STCは軟禁下で強制されたものだとして「無効だ」と否定した。

一方、暫定政権が掌握しているとする南部アデンでは10日、STC支持者による大規模デモが強行された。STC幹部は11日、AFP通信に連合軍の配下に加わるつもりはないと言明。混乱が続く可能性がある。

◇対岸にはイスラエルの影

暫定政権とSTCの対立の背景には、それぞれの後ろ盾となっているサウジとUAEの反目がある。英国の安全保障の専門家アンドレアス・クリーク氏によると、UAEはアラブ・イスラム諸国で「非国家武装組織」の支援を通じて地域での影響力や利権の獲得を目指す傾向が顕著だ。イスラム教聖地を守護する「盟主」として各国の正統政府に影響力を行使するサウジに対抗するためという。UAEはアデン湾を挟んでイエメンの対岸に位置するソマリアでも、同国からの独立を訴える「ソマリランド」と関係を深めているとされる。

こうした状況下、UAEと国交のあるイスラエルが昨年12月下旬、ソマリランドの国家承認を発表した。フーシ派と敵対するイスラエルとしては、暫定政権とSTCの対立に乗じてイラン側が勢力伸長を図ることを警戒。軍事拠点設置も含めアデン湾一帯ににらみを利かせる狙いとみられるが、イエメン情勢の混迷が広域化する恐れもある。

【時事通信社】 〔写真説明〕イエメンの分離独立派「南部暫定評議会(STC)」支持者による大規模デモ=10日、南部アデン(AFP時事) 〔写真説明〕イエメンの分離独立派「南部暫定評議会(STC)」の指導者ズバイディ氏=2024年1月、スイス東部ダボス(AFP時事)

2026年01月13日 12時45分


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