
【ソウル時事】韓国の李在明大統領は高市早苗首相との会談で、信頼関係の強化と経済面での実益追求に重点を置いた。4~7日の国賓としての訪中に続く来日は、対立が激化する日中のはざまで「均衡」を模索し、外交を安定させる狙いがにじむ。
「この複雑で不安定な国際秩序の中で、日韓の協力関係はこれまで以上に重要だ」。李氏は13日の会談で、高市氏にこう語り掛けた。会談では、人工知能(AI)といった先端技術分野での連携や供給網の安定確保を協議。日本主導の「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」への韓国加入についても話題に上った。
李氏は、山口県の海底炭鉱「長生炭鉱」の朝鮮人犠牲者の遺骨問題を「人道協力」と位置付け、対立から協力へと歴史問題の転換を図った。今回の来日は、昨年の高市氏の訪韓から2カ月余りという異例の早さ。金顯哲ソウル大教授は「首脳間の信頼構築が重要で、関係を安定化する狙いがある」と語る。
日中の緊張が深まる中で、中国にとっても「韓国の戦略的価値が高まっている」(専門家)との見方もある。李氏は訪中時、「中国との関係は相互尊重と国益を中心に管理し、米国や日本などパートナー国との関係もバランス良く発展させる」と説明。日中対立については「横から割って入れば、双方から嫌われる」と語り、距離を保った。
李氏の外交姿勢は文在寅政権が掲げた「均衡外交」と共通点を持つ。ただ、韓国政府系研究機関の外交専門家は「その性格は異なる」と指摘。文政権が北朝鮮問題を軸に展開したのに対し、李政権は米中など陣営間の分断が深まる国際秩序の中で国益の最大化を図る路線だと解説する。
文政権では元徴用工や慰安婦問題を巡る対日関係の悪化が同盟国である米国の不信感を招き、中国との外交交渉力を弱めたとされる。この教訓が李氏の対日重視の「実用外交」に色濃く反映される。
しかし、2月には韓国が領有権を主張する島根県竹島の「竹島の日」の記念行事が予定され、高市氏は就任前に閣僚派遣に言及している。韓国政府高官は「節目ごとに困難な局面は避けられないが、信頼と協力の積み重ねで賢く乗り越えていくことが重要だ」と強調する。
【時事通信社】
〔写真説明〕(右から)高市早苗首相、韓国の李在明大統領、中国の習近平国家主席(AFP時事)
2026年01月14日 07時42分