
17日で31年となる阪神大震災では、都市部を中心に多くの在留外国人も被害を受けた。在日コリアン2世の夫と被災し、震災をきっかけに発足したインターネットラジオ局「エフエムわいわい」の代表理事を務める金千秋さん=神戸市長田区=は、多言語で震災の教訓を伝える活動を続けている。全国で災害が頻発する中、「顔の見える関係を築くなど、地域の外国人との共助の在り方をいま一度見直すべきだ」と訴える。
1995年1月17日早朝、金さんは同市須磨区の自宅で夫と就寝中に被災した。周辺は築100年以上の木造住宅が立ち並び、金さん宅を含めてほとんどの民家が全壊。近所にはインターナショナルスクールもあり、多くの外国人家族が避難生活を余儀なくされた。
「避難所で外国人は排除されるのではないか」。そんな思いから避難所の名簿には通名(日本名)を書く在日コリアンが多かった。行政支援は「日本人のためのもの」という意識が強く、避難所に行けずテント生活をしたり、食料支援を断ったりする人もいたといい、「日本人にとって当たり前の支援を受けられない現実があった」と振り返る。
そんな状況を打破しようと、震災の約3カ月後には英語やスペイン語など7言語で災害情報を伝えるラジオ放送を開始。被災者からは、はがきで「自国の音楽を流してほしい」とリクエストが届くなどの反響があった。ラジオを通じて母国語を流すことが、被災者の心のケアにつながると実感した。
現在はラジオ放送にとどまらず、自治体と連携した地域住民との共生事業や、来日する人に日本の防災知識を伝える取り組みも進める。ただ、「国によって災害への考え方が異なる」(金さん)ことから、多言語で伝えるだけではなく、その国が持つ文化、地理的な背景に合わせた発信の仕方を模索する日々が続く。
日本人の人口減少が続く中、外国人の受け入れは今後も各地で増えることが予想される。金さんは「災害時には、漠然とした不安から民族間の偏見や思い込みが顕著になる」と指摘。「近所の外国人とのあいさつを心掛けたり、地域行事への参加を促したりするなど、顔の見える関係を築くことがまちの防災につながる」と強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える金千秋さん=2025年12月、神戸市長田区
〔写真説明〕エフエムわいわいのスタジオ内で取材に応じる金千秋さん=2025年12月、神戸市長田区
2026年01月15日 07時04分