
【ニューヨーク時事】核兵器の開発や使用などを全面的に禁じた核兵器禁止条約の発効から22日で5年。核兵器を禁じる初の国際法として「核兵器は違法」という国際規範の確立を目指してきたが、ロシアによる核の威嚇などで核軍縮を巡る状況は2021年の発効時よりも緊迫度を増している。
条約にはこれまでに95カ国・地域が署名し、74カ国・地域が批准した。国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」は、発効から5年に合わせた声明で、条約によって「核兵器の正当性が失われ、資金の供給も断たれている」と意義を強調。銀行などが核兵器製造企業を投資先から外す動きが広がっていると指摘した。
一方で、米国や中国、ロシアなどの核保有国はいずれも署名しておらず、米国の「核の傘」に頼る日本や、北大西洋条約機構(NATO)加盟国も参加していない。
発効後の22年2月にはロシアがウクライナ侵攻を開始した。ロシアが核の威嚇を繰り返す中、25年には欧州防衛に消極的な第2次トランプ米政権が発足。警戒を強める欧州では英仏を中心に核抑止力を強化する議論が加速した。締約国会議にオブザーバーとして出席していたこともあるNATOのドイツ、ベルギー、ノルウェーも25年の前回会議は参加を見送った。
また、米ロ間で唯一残る核軍縮枠組みの新戦略兵器削減条約(新START)は、2月5日に履行期限を迎える。トランプ米大統領は失効を容認する姿勢を見せており、中国を含む新たな核軍備管理の枠組みの必要性を訴えているが、先行きは不透明だ。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の発表した25年1月時点での世界の核弾頭総数は推計1万2241発。前年より減ったものの、廃棄のペースに対して新規配備が加速しており、SIPRIは「危険な核軍備競争が新たに始まりつつある」と警告した。
今年11月にはニューヨークの国連本部で条約発効後初めての再検討会議が開かれる。これに先立ち4月には核拡散防止条約(NPT)の再検討会議も予定される。核使用のリスクがかつてなく高まり、核廃絶を目指す核禁条約の締約国と核抑止を重視する非締約国との溝が深まる中で、どのように関係を構築し、核軍縮に向けて実効性を高めることができるかが問われる1年となる。
【時事通信社】
〔写真説明〕核兵器禁止条約の第3回締約国会議=2025年3月、米ニューヨーク
2026年01月22日 12時27分